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「あれ?Aは?」
宇田川たちと飲んでいたのであろう颯一郎が、キョロキョロと周りを見渡す。すると近くにいた宗が
「隅っこで寝ちゃってる」
と答えた。
「あー、なるほど」
颯一郎は納得して、そちらへ歩いていく。そしてAの隣に座って肩を揺すった。
「おーい、A?」
しかし返事はない。代わりに小さな寝息が聞こえた。颯一郎は苦笑すると、そのまま自分も横に座る。颯一郎はスマホを取り出して、Aの寝姿を写真に収めた。
「何盗撮しとんの、そーいち」
「由伸」
由伸が笑いながら颯一郎に話しかけてくる。そしてAの寝顔を見ると、頬をツンツンとつついた。
「ほんま可愛い」
「……」
Aを見つめる由伸の顔つきに、じわ、と胸の中に何かが広がった。
「よしのぶ、ツンツンすんな」
いつの間にか起きていたAは由伸の名前を呼んで、彼の袖を引っ張った。すると由伸は優しく笑ってAの頭を撫でる。
「はいはい」
そう言って立ち上がると、颯一郎の方を見て言った。
「そーいちも飲みすぎんなよ」
「わかってるって」
颯一郎はそう答えてビールを飲むと、そのままチームメイトたちの輪の中へ戻っていった。
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作者名:usa426 | 作成日時:2023年11月1日 23時