君との合言葉は (ページ24)

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第9話ページ24

試合が終わった後、チームメイトたちは居酒屋で祝勝会を開いた。Aはそこでもみくちゃにされながらビールを飲む。すると隣にいた由伸が

「A、あーんして」

　と言ってきた。

「は？」

「ほら、あーん」

　由伸はそう言ってAの口元に唐揚げを持ってくる。ニヤニヤと笑いながら、Aが口を開けるのを待っていた。

「自分で食えるわ」

「えー、じゃあ食べさせてあげる」

　由伸はそう言ってAの口に唐揚げを押し込んだ。そしてそのままもぐもぐと食べる姿を見て笑っている。

「可愛い、A。ほんま可愛い」

「うっさい」

「照れてるん？」

「うるさいって」

　Aは鬱陶しそうに由伸の手を振り払うと、そのままビールを流し込んだ。

「Aー、次こっちきてやー」

「はーい」

　Aはチームメイトに呼ばれてそちらへ向かう。そしてまたビールを飲んで、料理をつまむ。そうしているうちに、段々と頭がふわふわしてきた。

「Aー、眠いん？」

「んー」

　由伸にそう聞かれて、Aは目を擦る。

「寝とく？まだみんな飲んどるしな。俺の上着かしたげる」

「んー、でも」

「大丈夫やって。ほら、こっちおいで？」

　由伸はそう言うとAの手を引いて隅の方へ移動した。そして自分の上着を脱いでAにかける。

「ありがと」

「どういたしまして」

　由伸はそう言うと、Aの頭を撫でた。その手が気持ちよくて、Aはそのまま目を閉じた。