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人気のないロッカールーム。ロッカー前のベンチで、Aはスヤスヤと眠っていた。程よく効いた冷房が少し寒くて、タオルを体に巻き付けるようにしてAは体を縮こまらせている。
「ん……」
不意にパサッと何かをかけられたような感覚がして、Aはゆっくりと目を開く。すると目の前には颯一郎がいた。
「……？」
「まだ時間あるし寝ててええよ」
そう言って颯一郎はAの頭を優しく撫でる。そしてAの頭側に座ると、
「ちょっとごめんな」
とだけ言ってAの頭を持ち上げて自分の太ももの上に置く。いわゆる膝枕状態だった。
「……」
目を細めながら眉根を寄せるAの顔を、颯一郎は楽しそうに眺める。Aはその視線に気づくと、颯一郎の膝から頭を起き上がらせた。
「なんもしぃひんよ？」
そう言って微笑む颯一郎に、Aは訝しげな視線を向けた。そんなAを無視して、颯一郎は強引にAの頭を引き寄せると太ももの上に置いた。
「んぅ……かちかちでねられへん」
「ごめんて」
そう言って颯一郎はAの頭を撫でる。Aは呆れたようにため息をついて、再び目を閉じた。するとすぐに寝息が聞こえてくる。
「可愛いな」
そんなAに颯一郎は微笑むと、その寝顔を眺めていた。
「雰囲気甘々すぎない？」
そう言って宗はAに近づくと、ツンツンと頬を突く。するとAはムニャムニャと何か言いながらもゆっくりと目を開けた。
「おはよ、そろそろ時間やで」
「ん……ああ」
Aはそう言って体を起こすと、ぐっと伸びをする。そんなAを颯一郎は笑顔で見ていた。
「けぇたさん……今何時っすか……」
「4時ちょい前」
「ミーティング始まるやないですか！」
「まだちょっと時間あるし大丈夫やろ」
そう入って中川はAの頭を撫でる。ふわふわとした癖っ毛が心地よかった。眠そうに目を擦るAを見ていると、なぜか刺すような視線を感じる。
「別に取らへんよ」
「そんなんじゃないです。俺の上着ーって見てただけっす」
「嘘つけ、Aの顔ばっか見てるくせに」
「嘘じゃないす」
白々しくそう言う颯一郎に、中川は呆れたようにため息をついた。
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作者名：usa426 | 作成日時：2023年11月1日 23時
