第5話 ページ11
「いやー、Aと一緒じゃなきゃいやー」
「うるさいぞー、はよブルペン行かんかい」
「Aひどい」
「俺は裏で寝るんや。由伸はさっさとブルペン行って1イニングでも多く投げれるよう準備しぃや」
「冷たい」
そう言って笑う由伸にAはため息をつく。
「ほらはよ」
Aはそう言ってベンチ裏へと戻って行った。
「振られてやんの」
颯一郎はAの後を追う由伸にそう言うと、ブルペンへと向かう。由伸はそんな颯一郎に反抗したくなったのか、
「お前も振られてるくせに」
と言い返した。すると颯一郎は振り向いて言った。
「俺は振られてへんわ!」
そんな言い返しをされたら、由伸も黙っていられなかった。
「じゃあなんで一緒におらんの?振られてるってことじゃないんですかー」
まるで小学生のように言い合いを始めた2人に、チームメイトはやれやれとため息をつく。しかし止めることはせず、黙々とアップを始めた。
「俺は振られてへん!Aが勝手にやってんの!」
「じゃあ俺が告ってもええよな?別に今から言ってきてもええんやで?」
「は!?」
2人が再び言い争いをしようとしたその瞬間、ベンチから監督が出てくる。監督は2人の頭にチョップを落とすと、そのままベンチに座った。
「……ブルペン行こ」
「……」
2人はトボトボとベンチ裏へと向かう。そんな2人を見ながら、チームメイトは笑うのだった。
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作者名:usa426 | 作成日時:2023年11月1日 23時