あと一歩、君には【男主】

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次のイニングから守備が変更になるらしい。ゲンさんが下がってタクがショートを守るとのことだ。そしてピッチャーは引き続きA。


「タク、グローブかして」


　位置につこうとするタクを呼び止める。


「？」

　不思議そうに差し出されたタクのグローブをぎゅっと握ってから返した。

「何したんですか？」


「ん？おまじない」

「え？」

「万が一俺が打たれた時にちゃんとタクが取ってくれますようにって」


「Aくんの後ろは守りますよ」


「信じてるからな」


「任せてください」


　そう言って笑いながらタクは後ろへと走っていった。


　6回まで投げてAはベンチに戻って日本側の攻撃を見た。タクから攻撃が始まる。

「おー！」


　タクが打ったボールはライトへと行った。その隙にタクは三塁へ。さすがの足の速さである。

　翔平やたっちゃんなどのうちの攻撃陣の活躍により、日本は韓国に13-4と大差をつけて勝つことができた。途中、たっちゃんの背中にボールが当たったり、翔平にボールが当たりそうになったりとトラブルはあったが、結果良ければ全てよしにしよう。


「Naruchan」


「ん？」


「"背中痛いからさすってほしいな"」


　ヒーローインタビューで「"ちょうど凝ってたところに当たってほぐれたんで大丈夫です(笑)"」って言っていたのはどこのどいつだと思いながらさすってやる。


「"これでいい？"」

「It’s OK. アリガト、Naruchan.」

「いえいえ、Take care.」

「Thanks.」

　そう言って2人はハイタッチを交わした。


　そのあと、宿舎に帰ってミーティングをして、今日は解散となった。

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