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「ナイスやん、翔平」
 ベンチに戻り、翔平に向かって手を差し出すと嬉しそうに手を合わせてくる。
「ナルさん、次投げるんですか?」
「うん、やばいくらい緊張してるわ」
「ん」
 そう言って手を差し出してくる翔平。大きなその手を握ってパワーをもらうが、何かが足りない。Aは翔平のところを離れると、タクを探しにいった。
「タクー」
「何ですか?」
「俺の指先、握って」
「こうですか?」
「ありがと…………よし、これでいける」
「それ、なんの儀式ですか」
「秘密」
「そうですか」
「そろそろ待機しにいってくる」
「わかりました、いってらっしゃい」
 ベンチの先の方にいって由伸の投球を見る。今の打席に立っているのはチカだ。ファウル、ボール、ファウル。冷静に球を見極めつつしっかりと打っていく。敵に回したくないチームメイトは誰かと聞かれるとAは迷いなくチカと答えるだろう。
「ナル、次な」
「はい」
 そうして迎えた4回裏。投手交代のアナウンスと共にマウンドに上がる。キャッチャーは中村さん。キャンプ中にも何度も投げ込んだ人だ。最初の相手はテル。いくら仲がいいと言っても容赦はしない。
「っら゙あ゙っ!」
 投げたのは内角低めのストレート。体に火がついたかのように熱くなる。Aはその感覚に身を委ねてもう1回ストレートを投げた。
 原口さんに打たれてしまったが順調にアウトを重ねて、残る打者は梅さんになる。梅さんはいつもAのことを見てくれているのでここで少し違いを見せなければいけない。
 中村さんから出されるのは全て何回も梅さんに投げた球ばかり。それは嫌だと首を振ると、呆れたようにため息をつかれた。中村さんの
「あれやるの?」
 と言いたげなその目に向けて、力強く頷いた。
「っ!」
 投げたのは100km/hあるかないかくらいのカーブ。それを見逃して梅さんは三振。
「うっし!」
 初マウンドとしては上出来だろう。結局Aは3イニング投げた後、交代となった。
「ナイスピッチです、ナルさん」
「ありがとうな、宮城くん」
「あのスローカーブ、俺が教えたやつですか?」
「そう、ちょっと練習した」
 そう言いながらベンチに戻って監督の元へ行く。
「ナルちゃん、最高だったよ。もっと任せていい?」
「もちろんです」
 こうしてAは自分の実家との対戦を終えた。

ep6 -中国戦-→←.



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設定タグ:男主 , 中野拓夢 , 侍ジャパン   
作品ジャンル:恋愛
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てるてる坊主(プロフ) - ザキさん最高w更新待ってます! (7月27日 14時) (レス) @page46 id: 7989449218 (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 雰囲気すごく好きです!頑張ってください! (7月17日 3時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
てるてる坊主 - 中野君です!返信ありがとうございます! (7月15日 15時) (レス) id: 7989449218 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - てるてる坊主さん» ありがとうございます!!!もしよければその推しさんのお名前を教えてくださらないでしょうか…!短編とかのネタにしたいです! (7月15日 14時) (レス) id: 15f5f97ad6 (このIDを非表示/違反報告)
てるてる坊主 - 初コメ失礼します。僕の推しが出ててびっくりしてるうえに尊いです。これからも頑張ってください!応援しています! (7月15日 12時) (レス) id: 7989449218 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:usa | 作成日時:2023年7月5日 12時

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