あと一歩、君には【男主】

ep4 -合流日- ページ16

宮崎キャンプも無事に終わって、Aたちは名古屋で強化試合に挑む。この日から2人のメジャーリーガーが合流するらしい。
「……というような感じです」
　佐々木くんがいつの間にかオリジナルTシャツを着ている。あとでもらって明日の練習にでもきていこうか。Aは視線をメジャーリーガーの方に移した。

2人とも、無駄なものが一切ない体をしていた。大谷翔平くんに至ってはダルさんの雰囲気よりもさらにシャープで、少しだけ腕がゾワッとした。一方、ヌートバーさんもといたっちゃんはフレンドリーな感じだ。ニコニコと笑っていて、日本語で挨拶もしてくれた。

「Hi(やあ)」

　後ろからする低い声。まさか向こうから話しかけてくるとは思わなかったのでびっくりした。

「Hi. Nice to meet you! Tacchan!!(よろしくな、たっちゃん！)」

「You too. I've heard a lot about you from him.(よろしく。「彼」から君の話はよく聞いているよ)」
　まさかメジャーにまで自分の話が及んでいるとは。

「Really? Tell me what he say about me.(マジ？俺がなんて言われてるか教えてや)」

「Hmm......he said "He have a lot of pitches, good control, and most importantly, he's cute."(うーん……"球種も多いし、コントロールもいいし、何よりかわいい"って)」

　絶対嘘だ。可愛いのところは絶対嘘だ。

「cute?(可愛い？)」

「Ya(うん)」

　しれっとした顔で頷かれる。

「え、Anyway, I'm glad to talk with you,Tacchan!(ま、まあ、話せて嬉しいで、たっちゃん！)」

「Me too! see you later!(俺も！またあとでね)」

　そういうとウィンクを残して行ってしまった。
「Aくん、英語喋れたんですね」
「通訳さんにちょっとだけ教えてもらった」
「それにしてもです」
　いつの間にか横にいたタクと話す。
「たっちゃん、デカかったな」
「でかいですね」
　そんな中身のない会話をしていると、前から大谷くんが歩いてくるのが見えた。

.→←ep3.5&Instagram

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す