検索窓
今日:74 hit、昨日:76 hit、合計:56,552 hit

. ページ13

「なー、トングちょーだい?」
「焦がすからダメっす」
「おねがい」
「いやマジで先輩に焼かせらんないですって」
 渋々目の前にあったグラスを傾ける。なんだか甘いような苦いような味がした。
「あ、」
「なに?由伸。ヤバいみたいな顔して」
「それお酒じゃないっすか?」
「……まじで?んなことないと思うけどな」
「ならいいですけど」
 Aはそのままグビッとグラスの中身を飲み干した。やっぱり酒のような味がしたが、長らく飲んでいないのでよく分からなかった。
「宇田川くーん」
 新しくもらったグラスを持って宇田川くんのところへ移動する。
「Aさん」
「やっぱきんちょーする?」
「まあ……」
「やんなあ、おれもバクバクやぁ」
「え……?」
「だってみんなうますぎやもん」
「Aさんも充分上手いじゃないですか」
「ほんまー?」
「っていうかAさん顔赤くないですか?」
「え?」
 言われてみれば確かに顔が熱いしなんだか楽しくなってきた。
「あ!ナルさん!お酒飲みましたね!」
「うげ、あつきや……のんでへんで」
「嘘つかんといてください。うわー、俺が怒られるやつやん……ナルさん、お水飲んでください」
「ん、」
 京己に言われてAはチビチビと水を飲む。ついでに肉を食べるのも忘れない。
「美味しい?ナル」
 ダルさんがニコニコときいてくれる。それだけで今食べてる肉がさらに美味しくなるのを感じた。
「ふぉひぃふぇふ」
「口の中ちゃんと飲み込みや」
「ふぁい」
ゴクと飲み込んでからグラスをあおる。また甘い味がした。
「これあまいですねぇ〜?ダルさぁーん」
「それお酒やからな」
「へ?」
「っふ、わかる?お酒、アルコール」
「あー、アルコールならわかる、あれでしょ、あのボワーッてなるやつでしゅよね?」
「……お水のもっか、ナル」
「おれよってないですってばぁ!」
「はいはいわかったから、これ食べたら帰ろか」
 そのまま店の前で記念写真を撮って、京己とタクシーに乗り込んだところでAの意識は途切れた。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
129人がお気に入り
設定タグ:男主 , 中野拓夢 , 侍ジャパン   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

てるてる坊主(プロフ) - ザキさん最高w更新待ってます! (7月27日 14時) (レス) @page46 id: 7989449218 (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 雰囲気すごく好きです!頑張ってください! (7月17日 3時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
てるてる坊主 - 中野君です!返信ありがとうございます! (7月15日 15時) (レス) id: 7989449218 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - てるてる坊主さん» ありがとうございます!!!もしよければその推しさんのお名前を教えてくださらないでしょうか…!短編とかのネタにしたいです! (7月15日 14時) (レス) id: 15f5f97ad6 (このIDを非表示/違反報告)
てるてる坊主 - 初コメ失礼します。僕の推しが出ててびっくりしてるうえに尊いです。これからも頑張ってください!応援しています! (7月15日 12時) (レス) id: 7989449218 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:usa | 作成日時:2023年7月5日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。