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side -you-









教室という2人では広すぎる空間に


私と先生は取り残されていた




普段あまり声を荒らげることのないさくらが


ココ数日は自分の感情を曝け出すようになっている




さっきもそうだ




あんなに怒っているさくらを


私は見たことがなかった






『先生、私…


いい友達を持ちましたよ』






コレも多分、先生のおかげだろう




先生が澪奈について触れてくれたから


さくらは自分の過去と向き合うことができた




それと違って私は本当に……






ふと脳裏に過ぎった思いを振り払い


私は自身の膝の上で眠る先生の手を握った




それは握り返されることはなく


絡めた指に力がこもることはない






『先生、言ってくれましたよね…?




"コレから先、必ず俺がお前を守る"……


"だから、また俺の横で笑っていてくれるか?" って…』






気がつくと、目から大粒の涙が溢れていた




溢れた涙は頬を伝い


先生の顔を濡らしている






『…守ってくれるって、言ったじゃん……




先生がいないと…


……笑えないよ…』






突然


その声に答えるように


握り締めていた手に力がこもった




見ると、先生がゆっくりと瞼を上げ


空いたもう片方の手で私の涙を拭っている






「…守るよ……




だから…


笑って…?」




『せ、んせ……』




「心配かけて悪かっ…


んっ…」






私はそう言って上半身を起こす先生の言葉を遮って


唇を重ねた






「……ん…はぁ…


どうし…」


『どれだけ心配したと思ってるんですか!




もしかしてこのまま目を覚まさないじゃないかとか…


置いてかれちゃうんじゃないかとか…


不安で不安で…っ……




なんで体調が悪いの隠してたんですか!


なんであんなに無茶したんですか!




お願いだから…


もっと自分のこと、大切にしてください…』






先生は静かに私の言葉が終わるのを待つと


私の体を抱き寄せた




「ごめん……本当にごめん…」






そう力なく謝る先生の背中を


私は強く抱きしめた

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めぐちゃん - 私は36才です (2020年1月3日 21時) (携帯から) (レス) id: 0760400581 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤。(プロフ) - めぐちゃんさん» ありがとうございます、励みになります!私は17歳ですよ。 (2020年1月3日 21時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
めぐちゃん - 佐藤。さん» 私は佐藤さんの作品を毎日楽しみに見ています佐藤さんは歳は何歳ですか教えて欲しいです (2020年1月3日 15時) (携帯から) (レス) id: 0760400581 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤。(プロフ) - アオイさん» 身に余るお言葉です…!ありがとうございます! (2020年1月3日 10時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤。(プロフ) - めぐちゃんさん» あけましておめでとうございます!頑張ります! (2020年1月3日 10時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐藤。 | 作成日時:2019年11月30日 3時

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