【募集企画】荒廃した世界2【短編】

あなたのために【あじ】 ページ3

漆がプレゼントをくれて以来、私は彼を観察するようになった。

何に困っているか、どんなものがあったら仕事が捗るか、など
色々考えた結果。

漆はいつも年季のある万年筆を使っている。

何か思い出があるのかはわからないがその時はその時で他のものを
プレゼントしよう。

町に出て、万年筆を1本注文する。

あまり派手なのはきっと似合わないだろうから
シンプルな柄のものを選んだ。

しっかりとラッピングしてもらい、漆の反応が楽しみだと
両手で箱を持つ。

そのまま何事もなく戻ろうとしたが。

｢あっ…！｣

横から猫が飛び出してきて箱を取られてしまった。

あれは漆に贈るものなのに…！
猫といえどあれは渡せん！

待てと言いながら猫を追いかけるのは我ながら馬鹿げているとは思うが
さすがにあれは譲れない。

｢あっ！コラ！｣

猫が草原に入ってしまった。
それから数分程探していると、辺りが騒がしいことに気がついた。

何事かと思い町に出てみると、何処からか地球外生命体の子供が
迷い込んだようだ。

｢こんな時に…！｣

やむを得ず所持していたハンドガンで抗争する。

子供といっても三メートル程ある。
なるべく周りに被害が及ばないよう射撃するが、さっきの猫が
いつの間にか地球外生命体の足元にいるのが見えた。

あと数センチで踏まれそうになるが、なんとか滑り込み
猫と万年筆を助ける。

地球外生命体も子供だった為、すぐに倒れた。

兵士に無線で処理を頼み、アジトへと向かった。









｢万年筆は有難く貰っておこう。
…だが、1人で地球外生命体を相手にしたことは許し難いな。｣

帰ってきて漆にプレゼントしたのはいいものの、やはり仲間思いの漆は
地球外生命体と1人で戦ったことを不愉快に思っているらしい。

｢でも、子供だったし？｣

｢子供だったから良かったがもし怪我でも負っていたらどうする。
お願いだから…いや、命令だ。1人で戦おうとするな。｣

｢…了解。｣

逆に漆を怒らせちゃったかな…。

なんて思っていると。

｢これは有難く使わせてもらう。｣

漆のその言葉に涙腺が緩んだ。


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漆を勝手に使わせていただきました…。

なんか自称自賛みたいで書いてて恥ずかしくなってしまいました…。
ボスの包容力には惚れます。切実に。

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