二人目【柊】 ページ10
メフィと呼ばれる森の中、レヴィは途方に暮れていた。
途方に暮れる、と言うのも、ここ数日何も食べていないせいか、食べ物を探す内に道に迷っているのだ。
悪魔とも呼ばれる自分が、こんな森で迷うとは。
思わぬ失態に、頭を悩ませながらも、歩き続けていた。
暫く歩いていると、美味しそうな香りと、近づきたくない気配を同時に感じた。
「教会、か……」
近づきたくない気配、と言っても十分に近づけてしまう。
教会としては珍しく、奇妙なものだ。
大方、教会という物は神により結界が張られ、悪魔などの邪悪な物を寄せ付けない。
小さな疑問を捉えながらも、其処を通り過ぎようとすると、中から高らかな悪魔の声が響いた。
レヴィも悪魔の端くれではある。
同じ種族、言ってしまえば一種の身内でもある者が他所で悪事を働いているとなると、見逃してはおけない。
彼の安っぽい正義感が働き、渋々ではあるが、教会の中へと足を進めた。
中に進めば進むほど、神聖な、神の力が強まって行く事に顔を顰めながらも、足を止める事はしない。
一つの扉の前に立つと、その扉を開けた。
一人の悪魔と、神父と思わしき男が暗闇の中で対峙しているのが目に見えた。
神父と対峙するその悪魔の名を、レヴィは知っている。
「ベイル!」
その瞬間、彼女の表情は落胆の色を見せた。
「あぁ、もう!なんでキミがくるのさ!」
不機嫌そうに、声を荒げながら、ベイルは神父を無視して通り越す。
そしてレヴィの前までくると、腕を組み、詰め寄った。
「まぁ、まぁ。そんなに怒ることはないだろう? 第一、君が神父サマ達に迷惑を掛けるのがいけない」
「人間に迷惑って!あー、おっかしい!ぷ、は、はははっ、アハハハッ!キミ、悪魔なのにそんな事考えるの?!」
心底馬鹿にした様子でベイルは、笑い続ける。
そこには、先程までの機嫌の悪い彼女はいなかった。
その一方で、神父は新たな悪魔の登場に僅かながら、混乱を覚えていた。
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柊(プロフ) - 終わりました! (2017年4月8日 17時) (レス) id: fe844cdf7e (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 更新します! (2017年4月8日 17時) (レス) id: fe844cdf7e (このIDを非表示/違反報告)
あじ(プロフ) - 更新しました (2017年4月3日 19時) (レス) id: 907bb23346 (このIDを非表示/違反報告)
あじ(プロフ) - 更新しまーす (2017年4月3日 19時) (レス) id: 907bb23346 (このIDを非表示/違反報告)
闇松 - 更新しました! (2017年4月2日 3時) (レス) id: 8d015b109f (このIDを非表示/違反報告)
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