迷子とカミサマ【柊】 ページ30
ベイルに忠告してから数日。
レヴィはまたしてもメフィの中に居た。
何故此処にいるかと言えば、ベイルが下手をしないかの確認のためである。
流石に同じ事はしないだろうけれども、念には念を入れ、今に至る。
教会近くまで行くと、神も警戒を強めたのだろうか、結界が強く張ってあった。
結界の向こうからは、子供の元気な声が聞こえる。
木の上で暫くの間、のんびりとしていると、一人の子供が結界の中から出てきた。
大凡、迷子になった等の理由である事は予測がついたので、レヴィはその少女に声を掛ける事にした。
「こんにちは、お嬢さん。迷子にでもなったかい?」
ひらりと木の上から降りてきたレヴィに、少女は驚きながらも、答えた。
「うん……かくれんぼしてたら、どこか分かんなくなっちゃったの……」
今にも泣き出してしまいそうな少女に、レヴィは困った顔をするが、彼らしく手品を披露し始めた。
否、手品と言うよりも自分の力、魔法に近い物である。
突然出てきたコインに、嬉々とした表情を浮かべた少女に、コインを薔薇の花へと変え、渡した。
「ほら、お嬢さん。泣いていてはカミサマも困ってしまうよ」
「わぁ……!お花だぁ!すごい!!」
綺麗に綻ばせたその表情は、悪魔のレヴィの焦燥感を掻き立てるものだった。
なんとか其れを抑え、少女の手を取る。
「さて、そろそろ神父サマの元へ戻ろうか。きっと心配して……」
レヴィの言葉を遮るように女性の声が上がった。
「レイナ!また、悪魔……!?」
レイナと呼ばれた少女は、ぱぁっと笑顔の花を咲かせた。
「レト様だッ!」
レヴィは、駆けて行こうとする少女を優しく抱き上げ、レトの足元まで連れていった。
レトのいる場所は、結界の中であったが、レヴィは苦痛の表情を滲ませながらも、少女に笑顔を見せ続けていた。
「勘違いしてもらっては困る。私は、別に君らカミサマに喧嘩を売りに来たんじゃあないんだよ」
「……何が目的だ」
レトは未だ警戒の色を弱めず、低い声で言葉を紡いだ。
「強いて言うならそうだな……。僕と仲良くしてくれると嬉しい」
邪気のない笑顔で告げたレヴィと相反して、レトは、顔を引き攣らせた。
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柊(プロフ) - 終わりました! (2017年4月8日 17時) (レス) id: fe844cdf7e (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 更新します! (2017年4月8日 17時) (レス) id: fe844cdf7e (このIDを非表示/違反報告)
あじ(プロフ) - 更新しました (2017年4月3日 19時) (レス) id: 907bb23346 (このIDを非表示/違反報告)
あじ(プロフ) - 更新しまーす (2017年4月3日 19時) (レス) id: 907bb23346 (このIDを非表示/違反報告)
闇松 - 更新しました! (2017年4月2日 3時) (レス) id: 8d015b109f (このIDを非表示/違反報告)
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