笑わせないでよ【シルバー】 (ページ9)

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そんな自分が大嫌い。ページ9

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「オレ言ったじゃんか。『”助けて”って言え』って。みんなお前の力になりたいわけよ。もっとオレらを頼れよ」

図星だった。自分は他人に頼ることが嫌いだ。
足を引っ張りたくない。迷惑をかけたくない。嫌われたくない。
そう、思っているのに、正直になれない、可愛げがない。自分でみんなを跳ね除け、嫌われてしまうのがオチだ。

『………じゃあ、言わせてもらう』

目だけ監督生の方を見て言った。

『……様子がおかしいのはどっちよ。どうせシルバーあたりに聞いたんでしょ？あたしの過去とか。同情のつもりならほっといてよ。助けてなんて頼んでない』

図星かの様に４人は顔を歪ませた。ただ、エースはどうにも腑に落ちないような顔だった。その間をすり抜け扉をくぐった。きっと今の自分は、酷い顔をしている。意味わかんないよ。シルバーがあたしに執着する意味が。
大嫌いだ。素直になれない自分が。八つ当たりしてしまう自分が。

自分のことが、大嫌い。

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『すいません、遅れてしまって……』

「いえ、全く遅れていませんよ、Aさん……大丈夫ですか？」

大食堂に着き、アズールを見つけた。彼はAの顔を見て心配の色を覗かせた。そんなに酷い顔だろうか。

『…大丈夫ですよ。ちょっとごたごたがあっただけです。』

ヘラっと笑ってみせると、アズールはむっとした。すると、Aの頬を引っ張って上下させた。

『あ、あうーゆはん、はにひへふーへふは(アズールさん、なにしてるんですか)。』

「ふふふ……ごほん、失礼。」

Aの頬から手を離したアズールは、顔を赤くして咳をした。その手は自分なんかより全然大きくて、しっかりしていた。手袋の質感がまだ少し顔に残る。力加減を気にしてくれたのか痛みは全くない。
もう少し触っててほしかった、なんて。馬鹿か私は。どれだけ人肌寂しがってんだ。

さっきの行為の意味が分からず、Aはアズールを見上げた。アズールは赤い顔を隠しながら言った。

「……あまり、一人で背負い込み過ぎないでください。貴女には笑っていて欲しいんです……」

最後の方を濁し、テーブルがなくなってしまいますよ！と急かされた。そんなに真っ赤になられたら、こっちまで恥ずかしいじゃないか。顔があつい。これは大食堂という公衆の面前で手を引かれた羞恥心ということにしておこう。今はまだ、寮長のままでいてくれ。