笑わせないでよ【シルバー】 (ページ50)

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笑わせないでよページ50

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「……今年も俺らが無様に負けるって言いてぇのか？」

「私だって言いたくて言っているわけではありません。とにかく、殿堂入りの件はすでにドラコニアくんに内諾を得ています。あとはみなさんの合意を得るだけです。」

先に内諾を得ているのは狡いのではないか？そう思ったのはAだけではないようで、段々と不破の輪が広がっていった。レオナは昼休み一緒に過ごした人と同じ人とは思えない熱量で学園長に反抗した。

「は、舐められたもんだ……俺はな、センセー。”お前は絶対一番になれない”ってハナから決めつけらえることがこの世で一番嫌いなんだよ。」

「いえ、そういうわけでは……」

「じゃあどういうわけだ？第一、マジフトは力押しでやるもんじゃない。頭(ここ)でやるもんだろ？」

彼は自身の脳幹をトントンと指差した。マジフト部にはそういう見方もあるのだろう。

「オレは頭でもマレウスに勝てる気しねーけどなー。」

「フン、お前はな。だが、俺は違う。確かに力押しじゃあ誰もあいつに勝てないだろうが、おつむのほうは違うはずだ。」

若干苛立つAの横で、アズールが興味を示し始めた。

「グレート・セブンの百獣の王も、努力と知恵で王の座を勝ち取った。お前らも頭絞って考えろよ。あのバケモノに勝つ方法を！もし勝てたなら、そのチームを世界中が称賛するだろうぜ。千載一遇のチャンスをみすみす逃すのか？」

彼が上手いこと周りの寮長を言いくるめて士気を上げた。そんな中、場違いにもAは口角が上がっていた。オクタヴィネルに堕ちても、忠誠は無くならなかったらしい。
本気で彼に勝てると思ってらっしゃるのか。

「……なに笑ってやがんだ」

『へ？すいませ……』

レオナは真顔でこっちを見ている。学園長も視線をAに向けた。

「Aくんの意見を聞かせてくれますか？」

『私は……』

彼が出ようが出まいが、どっちでもいいです。Aはそう答えた。レオナが不機嫌そうに尻尾を揺らしたのを横目にAは続けた。

『例え娯楽の場だとしても、私はあの御方に矛先は向けません。殿堂入りにならなかったとしても、オクタヴィネルは補欠の方が私の代わりにディアソムニアと対戦します。ですので、私の意見は参考にならないかと』

本気であの御方に勝てるとでも？笑わせないでよ。

あの御方は貴方がたのような成り上がり風情に負ける方ではない。あの御方と戦って彼の息を切らさすことすら不可能だと、Aは断言できる。