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狙い ページ48




『……そろそろ授業ですね。そうだ、午後は体育からスタートだった。』

「え、結構居座らせちゃったスけど!?」


Aはスマホのロック画面を見た。背景が勝手にアズールさんになってんのは許さない。双子は帰ったらお仕置きだ。フロイドの画面椎茸にしてやる(陰湿)。Aは立ち上がってラギーに手を振った。


『ラギーさんのお話が面白いので時間を忘れちゃってました。では、またいずれ。』


Aは急いで教室まで駆け出した。いやマジこれ、走んないとギリ遅刻とかになるから。特待生とか生徒の模範とか、一回忘れて。

私の足なら間に合う!行け!風になれA!!



───────────



「ラギーさんのお話が面白いので時間を忘れちゃってました。」


そう言ってはにかむ彼女の目に、ちゃんと自分は映っているのか。ふわふわ笑う彼女はちゃんとここが男子校ということを理解しているのか。どうしてみんなに平等な笑顔を向けるのか。こっちばっかり振り回されてるじゃないか。

彼女が走っていった方向を見つめ、大きな溜息を垂れ流す。


「……人様の獲物を狙うたァ悪趣味じゃねぇか。」

『寝たふりして聞いてる人も十分悪趣味ッスよ。』


後ろで狸寝入りしていたレオナさんが、よっこらせと体を起こした。きっとオレを揶揄いたくて仕方ないのだろう。腹立つ。


「オレはアイツを呼んで来いなんて言ってねぇがなァ?……やけに気に入ってるみてぇじゃねぇか。」

『ほっといてくださいッス!……つか、レオナさんこそ、Aくんに同情心で仲良くしてんなら、思わせぶりなことだけはしないでくださいよ。人の獲物って…みんなの獲物の間違いじゃないッスか?』


主にアズールくんとか、シルバーくんとか、噂じゃリドルくんまで絆されてるって聞いたし……シルバーくんに至っては自業自得っしょ。”家族”だかなんだか知らないけど、その地位に胡坐かいてたようなもんだし。Aくんが離れていったのも、勘違いから発展したらしいッスけど。


『……ざまぁみろ。』

「はっ、男の嫉妬は醜いぜ?」


アンタはアンタらしくないッスけどね。なんて、口が裂けても言えない。自分の獲物をこんなすぐに手放すなんて。


『シシシッ……どの口が言ってんだか。さ、午後の授業は何としてでも出てもらうッスからね!!』

「チッ、面倒くせぇ………。」


介護疲れが出そうだ。レオナさんの介護をしながら明日はどこの寮の誰を狙うか考えていた。

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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2020年8月25日 20時

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