笑わせないでよ【シルバー】 (ページ46)

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王様になりたいとか、王様になれないとか。ページ46

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「……てかもしかして、午前中ずっと寝てたんスか？また必修単位落とすッスよ。」

『ご、午前中ずっと……！？』

「スンスン……お、ちゃんと頼んだもん買えたみてぇだな。」

「もー。レオナさんいっつも競争率高いパン頼むんだもんなぁ。ま、今回はAくんも共犯ッスけど。」

『まぁ、まるで犯罪みたいな言い方じゃないですか。私はただ、なんにも言わなかっただけです～。』

「シシシッ助かったッスよ。流石特待生サマ♪」

『どうにかして共犯にしようとすんのやめろください』

ラギーはハイハイと分かっているのかいないのか分からない返事をしながら、レオナにデラックスメンチカツサンドとアイスティーを渡した。

「手に入れるのが難しいからこそ食いたいんじゃねぇか。」

『ははは、王族様様ですね。』

「オレはカビさえ生えてなきゃ何でもいいッスけどね。」

『あたしも、親父殿の料理じゃなきゃ文句は言いませんよ。』

父の料理に文句なんて言ったことなどないけど。レオナはパンを頬張りながら自嘲するように言った。

「フン。第一王子ならまだしも、俺は第二王子。どうせ王になれる望みも薄いし、庶民と何も変わらねぇよ。」

『あたしらの話聞いてましたか？？』

庶民と変わらないは言いすぎです。撤回してください。ラギーは不機嫌そうに唇を尖らせた。

「オレ、レオナさんがウチの実家の写真見て『犬小屋かと思った』っつったの、一生忘れないッスよ。」

『王族こっわ』

「そんなこと言ったか？」

『尚のこと怖い』

思わず箸が止まったわ。卵焼き落としかけたんだけど。やめてよ、今日は上手く巻けたんだから。ラギーは皮肉めいた言い方でレオナを軽く睨んだ。

「言いました～。ったく。オレも自分ちが犬小屋に見えるようなお城に住んでみてぇッスわ。」

するとレオナはまた、冷めきった声で言った。

「はっ。王族なんていいモンじゃないぜ。努力や実力は関係なく、生まれてくる順番で全てが決まっちまうんだからな……。」

レオナは意外と自分を卑下するとこがある。その癖人も下に見てるもんだから、彼はなにを見ているのかが分からない。”自分が一番、でもそれはサバナクロー寮(ここ)でだけ”って分かっているから諦めてるみたいな……？

Aは箸を咥えたままうーんと唸った。

『「ふーん……そんなもんスか。」』

こんなとこでハモるのはやだよ。ラギーはツボった。