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給仕初日 ページ38




『……ただいま戻りました〜。』

「おや、Aさん。……よくお似合いですね。」

「ああ〜!イルカちゃーん!寮服お揃いじゃーん!」


実は今日からモストロラウンジでの給仕だったのだ。パーティと日が被っていたが早く始めるに越したことは無い。それに明日は学園長に呼ばれている。寮長会議にも(なぜか)出席しなくてはいけない。少々の疲れやトラブルは織り込み済みだ。初日からホールの為アズールさんは不服そうだったが。

パーティが終わって直ぐハーツラビュル寮の寮服を着替えた。オクタヴィネル寮転寮初日だというのにもう寮服が出来ているなんて。まずサイズすら教えていない気がするが、そこは気にしてはいけない。アズールの仕事の出来にはいちいち驚かされる。

寮服に袖を通して分かったが……


『……毎度毎度、服に着られてる感』


今回のスカートはタイトだった。フロイドやジェイドと同じ、紫のシャツに黒い上着。Aには帽子が無くて、代わりに可愛らしい紫の貝殻の髪飾りが付いていた。彼はAの髪が伸びたことに気付いていたのだろう。ありがたく受け取り、ハーフアップにした。

オクタヴィネルの寮服はかっこいい。アズールとかジェイドとかみたいにキッチリ着こなしてみたかったが、そうすると服に着られてしまうので、少し崩すしか無かった。

隣にいるフロイドとジェイドを見てAは溜息を吐いた。


『なんかキミら足長くないか?ずっる。』

「え〜、だってさジェイド。」

「おやおや、逆恨みはやめて頂きたい。」

『誰が逆恨みだ』


フロイドはケラケラ笑う。いや、笑ってんじゃねーよ。
ジェイドはアズールと張るくらいの胡散臭い笑みで言った。


「Aさんもよく似合ってますよ。アズールがわざわざ仕立てた意味がよく分かります。」

「あ〜、確かに。アズールほんっと抜け目ない。」

『どゆこと?』



双子はニヤニヤしているだけでなにも教えてくれない。こういう時は、相手しないが吉だったりする。


『はいはい、さっさと仕事教えてよ。』

「イルカちゃん仕方ないなぁ。」

「ええ、僕たちが手取り足取り優しく教えてあげますよ。」

『こっわ』


教育係選び終わってんだろ。いじめじゃね?アズール私のこと嫌いでしょ。寮長が私のこと嫌っているかもしれないということを視野に入れ、バイトに取り掛かった。

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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2020年8月25日 20時

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