笑わせないでよ【シルバー】 (ページ33)

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悪役と笑顔ページ33

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教室に着くと、やっぱりなという状況に陥った。まあ想像はしてたけど。見慣れた面々に飽き飽きしていた。チェリーレッドの瞳をつりあげた彼を筆頭に愚痴大会が始まる。

「お前、何で４日もいなかったんだよ。」

「ちゃんと説明してくれないか。」

「……」

「オマエ、転寮したのか！」

『悪いか。』

教室に着いた所でいつもの４人が待っていた。まるで悪者みたいに囲まれている。間違ってはいないのだろうが。Aがオクタヴィネル寮に転寮したことに不満を持っているらしい。何か悪いことをしたか？

『言ったじゃん。転寮する～って。それに実家に帰省って伝えたはずだけど？』

「あの件って和解したんじゃねーの！？」

『和解はほぼしてるし、今日のパーティでちゃんと話すんじゃないの？』

エースとデュースはあちゃ～、と頭を抱えた。ユウは「Aちゃんの破天荒さにはもう慣れた」と遠い目をしていて、グリムに頬を叩かれているが。

「……一足遅かったか」

『何の話？』

「こっちの話だ。」

『文脈的にあたしも関係あるんじゃ？？？』

エースとデュースは隠し事をする様に分かりやすく目を逸らした。まあ、大したことではないのだろうが。Aはハァ、と溜息を吐いた。

鞄には、アズールの秘書として任された仕事の書類が入っている。置き勉勢だった私は、今まではかっるい鞄を持っていたが、今ではすっかり真面目ちゃんだ。まあ、中身は書類ばかりなので勉強に使うようなものはほぼ入っていないが。

突然書類整理を始めたAを見て、４人はギョッとした。

『……ああ、ごめん。今終わらせたくて。話続けて。』

「いや、何してんの？」

『書類整理。……ああ、頼まれたのよ。アズール寮長に。あたし、今はあの人の秘書だから。』

「ひ、秘書……？」

デュースは顎に手を置き疑問そうにこっちを見た。Aは粗方を説明した。

アズールとは契約上の利害関係であること。オクタヴィネル寮に転寮したのは双方が願っていたことで、どっちかが妥協したこととかは無い。利害一致を一番にした契約であること。流石に告白されたことは伏せたが。

『……てことで、正式にオクタヴィネル寮生だから。今日のパーティはリドル先輩に直接転寮を報告する為だと思ってるから。』

「……本気かよ。」

『こんな冗談言わないわよ。』

若干睨むような、離れることを惜しむような瞳で、エースはこっちを見た。私は笑って返した。アイツが嫌いな、私の笑顔を。