笑わせないでよ【シルバー】 (ページ27)

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お断りします。ページ27

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「みんな！Aが帰ったぞ！」

学園から許可を貰い、みんなより一足早く実家帰省。さっきまで優雅に座っていた年の近そうな兄弟たちは、Aを視界に入れた途端、飛びかかる勢いでAに抱き着いた。Aは突然のことで、対応できなかった。

『え、えっと……？』

「姉さま……！A姉さま！よく帰って来た……！」

Aを力一杯抱きしめる妹と弟の体は、心なしか震えていた。震える声を振り絞ってAの名前を呼んだ。奥の部屋から実父だと思われる白髪の男性も出てきた。

「……A、」

『……おとう、さま。』

いつの間にか、召使いがいなくなっていた。兄さんとジャミルは部屋の端っこでこちらを見ていた。Aはどうすればいいのか分からないまま、カリムに視線で助けを求めた。彼はよく意味が分かってなかったらしく、抱きしめ返すようにジェスチャーした。

Aは兄弟の体に手をまわし、父にふんわり笑いかけた。

『……ただいま。』

「よく帰ってきたな」

兄弟たちが泣き出してしまって大変なことになった。しかも兄さんまで泣き出すもんだから、面倒臭くてしゃーない。ジャミルに任せた。後からやって来た兄弟たちの量には驚いた。自分より小さい子供には初めて会った。３０人はいた()宴はえげつなく騒がしかった。

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『……あたしに、バイパー(従者)を？』

それは突然の事だった。
父上と二人でお茶を飲んでいた。甘い甘いお茶が頭をふわふわと高揚させた。今までどこで何をしてたかとか、茨の谷ではマレウス・ドラコニアにお世話になっていたとか、ナイトレイブンカレッジには特待生入学したとか、もう、今までの家族とは縁を切ってしまったとか。そんな話をしてAが辛いのを察してくれた父上は、話題を変えてくれた。

私にバイパー(従者)をつけるとのこと。

『……有難い限りですが……謹んでお断りさせていただきます。』

私がそう言うと、お父様は悲しそうな顔をした。

「……今更父親面をするなと思うかもしれないが、心配なんだ。ジャミルは分かるだろう？あの子には妹がいる。お前と同年代の。」

『女子(おなご)ならば、尚更お断りです。』

優しくも強い意志を宿したAの瞳は、獅子の眼差しの様だったとか。

女の子が身を挺して守るほど、自分に価値なんて無い。誰かを守るのはこちらの役目だ。私は、私のすべきことを全うする。