笑わせないでよ【シルバー】 (ページ23)

今日:16 hit、昨日:40 hit、合計:117,670 hit

意識ページ23

・

『……まあ、あたしはどっちでも行けると思うんで忙しい方につきますよ。厨房が混んでいる時は厨房に、ホールが回っていない時はホールに。両方の場合は両方でも。』

そう言うとアズールは分かりやすく機嫌を悪くした。

「……貴女の能力を否定しているのではありません。心配しているのですよ。」

「他の生徒にAさんの給仕姿を見られたくないだけですよ。」

「それシットってやつ？アズール見苦し～」

「ジェイド！フロイド！お前たち……！」

『あはは……まあまあ。本業はアズールさんの秘書なんですよね。じゃあほとんどモストロラウンジは関係ないですよ。そっちの方が忙しいでしょう？』

Aがそう言うと、アズールは急に嬉しそうにした。フロイドはえ～！と文句を言っている。ジェイドはアズールを見てくすくす笑っていた。Aはふと、思い出した。

『……てか、秘書って要ります？あまり需要を感じないんですが。』

ずっと思っていた本音だった。そう、彼に秘書なんて必要なのか。アズールには、ジェイドという有能な部下がついているし、そもそもアズール自身がかなり優秀だ。

Aが疑問を口にすると、アズールはまた分かりやすく気分を落とした。ジェイドは常にそれを面白がっている。楽しそうでなによりだ。Aはアズールをなだめるように弁解した。

『いや、あたしなんかじゃなくてもジェイドの方がずっと有能ですし、まずそもそもアズールさんが優秀なのに、寧ろ足引っ張るんじゃないかなって……』

「おやおや……お褒め頂き光栄です。」

『いや、ジェイドが有能なのは有名な話だよ。ハーツラビュル寮の時から先輩に聞いてたし。』

そう言ってみるものの、アズールにお世辞は利かなかった。納得いかない。目は口程に物を言うとはこのことか。案外愛されてるもんだな。ちょっと恥ずかしくなってしまった。

そう思い始めると早かった。血の巡りが早くなり、体がムズムズする。体温が急にぶわっと上がり汗を掻いた。

『あー……いや、やりたくないわけじゃないんですけど。その、二人きりになる時間が増えるのかな、って思って……』

Aがそう言ったのが悪かったのか、アズールまで真っ赤になってしまった。

『…忘れてください。』

恥ずかしくて顔を上げることすら出来なかった。おい、そこのウツボ笑うな。