笑わせないでよ【シルバー】 (ページ22)

今日:12 hit、昨日:40 hit、合計:117,666 hit

どっちでもページ22

・

『……因みに、《モストロラウンジの給仕》というのは、ホールですか？厨房ですか？』

オクタヴィネル寮に入るにあたって避けられないこと。それが《モストロラウンジ》のバイトだ。

私は思った。自分にとってホールと厨房では、労力も出来も違う。勿論、やれと言われればどっちでも出来るのだが、ホールでは色々面倒なことが多い。面倒事だけは避けたいが…。それだけではなく、純粋な疑問もあったが。

アズールさんはさも当たり前かのように言った。

「……厨房です。」

「え～！イルカちゃん厨房！？やだやだ！」

『ちょ、あたしを締められても……吐く吐く。』

私が厨房と聞いた途端フロイドが締めてきた。勿論、フロイドの上に座っている私が逃げれるはずもないのだが。せめてもの抵抗でフロイドの腕を叩いて、力を弱めるよう言った。

『……あたし、どっちでも行けるよ……』

「ほら！イルカちゃんもこう言ってるしぃ。」

「いけません！モストロラウンジは紳士の社交場とは言っても、まだまだ治安がよくありません。万が一Aさんに何かあった時、責任をとれるんですか？」

『治安よくないって気付いてたんだ……大袈裟だよ。そんなにあたし弱そうに見えますか？』

「そう言えば昨日、２年生を追い払ったらしいですね。何があったのかお聞かせ願えますか？」

『余計なことを……あの人らはちょーっと睨んだだけで尻尾巻いて逃げてった腰抜けだよ。上級生だからもっと骨のある奴らだと思ってたんですけどね。口ほどにもねー奴らでしたよ。』

つまんな。と両手を広げ首をすくめた。私が溜息を吐くとジェイドは言った。

「おやおや、まるでフロイドですね。」

『失礼な。』←失礼

ニヤニヤと薄気味悪い笑み(酷い)を浮かべるジェイドを睨んだ。フロイドはそれを気にも留めず私を抱きしめる手に力を入れた。

「ほら、イルカちゃん強いしダイジョーブだって。ね？イルカちゃん。」

『うんうんあたしは強い強い。だからもう少し力を弱めてくれないかな？？？』

体がミシミシと音を立てる。強いからって痛みを感じない訳じゃないんだよ。死んじゃう死んじゃう。「あ、ごっめーん」と言って悪びれる素振りもなくフロイドは私を放した。ちょっと腹立つ()

アズールさんの方を見た。綺麗な顔を可愛らしく膨らまし、まだ納得していないようだった。