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水槽 ページ20

Aside


こぽこぽと水槽の中で泡が湧き上がる。キラキラ光る泡沫に目を奪われた。昔から綺麗なものが好きだった。宝石とか、花とか、自然にまつわるものとか。息を忘れるくらいに熱中出来るものが。ボーっとするのが好きだからかもしれない。常に頭を回転させて生きているから、頭を休ませる時間が必要だった。

オクタヴィネル寮(ここ)は、それに丁度いい環境が整っている。静かで、心地よい音楽が流れていて、少し暗くて、涼しくて。いつも落ち着く匂いがする。


「……Aさん、お待たせしました。」

『アズール、……貴方が迎えに来るとは。』


双子を寄越すのかと思っていたのに、態々自分から迎えに来るとは。

今日は先に『大事なお客様』の仕事が入っていたらしく、暫く待っていて欲しいと言われた。その、『大事なお客様』が誰なのかを当てるゲームをフロイドとしていたが、アズールが『お前は仕事があるでしょう。』と言って引っ張っていった。たまに私のいるテーブルまで、ちょこちょこ顔を出しに来るフロイドが可愛かった。心配してくれているのだろうか。

アズールのことだから、今日の午後授業前のことは二人に話しているはずだ。彼らがいない時間、気温がいつもより寒く感じてしまうくらいには、彼らに絆されている。

Aの前で跪き、手を差し伸べるアズールに笑いかけた。


『……エスコート、期待していますよ?』

「……貴女のお気に召すまま。」


彼は微笑むように笑った。いつもの愛想笑いではなかった。それだけで嬉しくなってしまう私は、一体どれだけ単純な女なのだろうか。

VIPルームまで案内される道程、周りの生徒(客人)がこっちを見ていることに気付いた。それを視界に入れることなく、微笑んだまま歩いて行った。



──────────────



VIPルームの前にはフロイドとジェイドが既に待っていて、扉を開けてくれた。VIPルームに入るまでが、客人だったらしい。入った途端、後ろからすごい勢いでフロイドに抱き着かれた。アズールの静止の声とジェイドの面白がる声が聞こえた。これが、日常になるのか……


「イルカちゃんの席は〜ここ!」

『キミはいつからソファーになったんです、フロイド。』


Мなのか?フロイドに対してそう思うことが最近多々ある。ジョークとして受け取っておこう。

人間不信の方のアジーム→←魔性の



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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2020年8月25日 20時

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