笑わせないでよ【シルバー】 (ページ18)

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フィロソフィーページ18

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「特待生大丈夫なのかよ。」

「女子一人で大変だろ？」

「いつでも頼れよな……」

『え、あ、ありが、と……。』

彼らとは会話するのだって初めてだろう。お人好しもいるものだ。
休み時間になり、クラスメイトに囲まれた。動揺が隠しきれずキョドッてしまった。暫くしてクラスメイトが去った後４人が来た。監督生は悲しそうな目を私に向けた。エースとデュースは微妙な顔をした。グリムはいつも通り。

「Aちゃん……」

その声を遮るように質問した。

『監督生、正義ってなんだと思う？』

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エースside

何の脈絡もなく始まったAによる意味不明な分析哲学。【正義】とはなにか。コイツは馬鹿で不真面目そうな見た目して、案外繊細で物事をよく考えるやつだ。

１時間ほど前、この教室を飛び出して行った臆病な少女とは、まるで別人だ。目の色がまるきり変わってしまっている。眉を歪ませ、歯を見せて笑うその姿が怖かった。

この顔を見たのは初めてではない。

リドル寮長のオーバーブロット前、トレイ先輩を図書室で待ち伏せした日。興奮気味に人の不幸を語っていた、あの時の顔。ゾクッと背筋が凍った。

「……哲学？」

呑気にそう聞き返す監督生は、どんな図太い神経をしているのだろうか。監督生に若干引いた()

『哲学……そんなに難しく考えなくてもいいよ。監督生が思う、正義とは何か。それでいい。』

知識欲、というものだろうか。貪婪に知識に貪りつくAは、もう、自分の知っている彼女ではなかった。監督生は顎に手を添え少し考え、答えを出した。

「………分からない。言うならば、『人と人との繋がり』かな。」

如何にも監督生らしい答えだった。だが、Aは真逆だろう。いとも容易く人との縁を切ってしまうのだから。皮肉ともとれるその回答に、Aは更に口角を上げ、ニヤニヤ笑った。

『……いいね、参考にさせてもらうよ。』

Aは机に肘をつき半目気味に自分たちを見上げる。ぞわぞわした。獣に見据えられるかのようにな、狂気じみた視線を向けられた。

『……エース、手ぇ出して。』

言われるがままに片手を出すと、Aは手の上に収まりきらない量のミントキャンディを出した。

「うおっ……！？…っと。」

A、コレ好きじゃなかったっけ？暇さえあれば舐めてたじゃん。……なんて、口が裂けても言えない。その時彼女は、笑っていなかったのだから。