笑わせないでよ【シルバー】 (ページ15)

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嫌い嫌い大っ嫌いページ15

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『……なにそれ、意味わかんないんだけど。』

威圧する様に監督生をを睨みつけた。エースとデュースはAを止めようとしたが、監督生がそれを止めた。

「……Aちゃんはいつも人の事ばっかりで、自分の意見を言っているようで言ってないよ」

『空気読むって分かる？自分の意見ばっかり言えないんだよ、世の中ってのは。』

「Aちゃんは溜め込みすぎなんだよ。」

『……そんなの、ここじゃ珍しくないでしょ。』

「でも、ここの人たちは自分の意見をハッキリ言うよ。」

『自己中心的なんだよ。クロウリーも言ってたでしょ。』

Aと監督生の攻防戦が続く。

「ちょっとはワガママにならなきゃいけない時もあるんだよ。」

『アンタに何が分かんの？我儘言って捨てられるのが怖いの。』

「言ってくれなきゃ、分からないんだよ………」

細長い鋭利な何かが刺さるみたいに、胸が痛んだ。

もっと自分の気持ちを口に出せ

口に出さないのに分かってくれると思うなよ

そのうち壊れるぞ

言ってくれなきゃ助けれないんだよ

ジャミルに言われた言葉、エースに言われた言葉が、頭の中でこだまする。ズキズキと痛む脳を押え、机に突っ伏した。

『……あ、ぁあ……』

ダメだ。頭が痛い、息ができない。頭痛で唸るAを監督生が宥めた。

「お、落ち着いて、Aちゃん……」

『ごめんね、ああ、ごめん、ごめん……うう、』

怖い、嫌だ、嫌い。負の感情にまた支配されている。もう、嫌だよ。こんな自分が。脆いんだよ、弱いんだよ、醜いんだよ。なんで八つ当たりしちゃうの？監督生なにも悪くないじゃん。

『ごめん……ごめん……』

「大丈夫、大丈夫だよ、顔上げて……」

周りが騒ぎ出す。またか、特待生どうしたんだ、って。見ないでよ。私の話をしないで。

『……怖い、怖いよ……』

「A、落ち着け……」

「おい、A…」

エースが私に手を伸ばした。Aはそれを拒絶した。振り払って睨みつけた。きっと酷い顔だ。

『触らないでよ！！』

この場の誰に向けたわけでもなく、でも誰かに向けて、懇願する様に叫んだ。エースがたじろいた。教室に居たたまれなくなったAは、頭を抱えたまま、廊下に飛び出した。

どうしても、素直に「助けて」と言えないこの口が、他人を睨みつけるこの目が、自分の悪口を聞き取る耳が、自分を構成する全ての要素が

嫌いだ。