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善は急げ ページ4




『エースデュース、おはよ〜』


メインストリート、前方を歩いているイソギンチャクたちにAは声をかける。振り返った反動でぷるんぷるん揺れたイソギンチャクにふっと笑みを溢した。しかし振り返った二つの顔は青くげっそりとしている。


「おはようA」

「なんでそんな元気なの?」

『ん〜?なんでだろうね?』


質問に質問で返すなとでも言いたげに、エースは眉を顰めて「は?」と、一言だけ発した。
「お前今日変じゃね?」エースがそう口を開こうとした時、被せるようにデュースが「監督生、グリム、ジャックもおはよう」と言った。Aは監督生の方へ振り返ってしまう。


『三人とも、おはよう』

「お、ぉはよう!Aちゃん!」

「いやいや、オレらは?」


監督生もどこかよそよそしく挨拶の声を裏返してしまっていた。エースは仕方なく「全員疲れてる」ということで一人納得した。監督生はといえば昨夜Aの前で失態を晒してしまい、合わす顔がなかったのだ。それでも朝から鉢合わせしてしまったが。


「さっき食堂でレオナさんと話してきたんだけど……」


レオナ曰く「時は金なり!さっさと行動を起こすべき」とのこと。レオナの言うことなら信用できる。Aは何故かそうとしか思えなかった。


『よし、アトランティカ記念博物館へ行こう!』

「はあ!?Aまでそんなこと言うワケ?」

『善は急げ』


Aはエースとデュースの手を取って闇の鏡へ向かった。監督生たちも後から続いてくる。
どうしてか今日は気分が良い。クルーウェルに報告しとかなきゃとか、打倒アズール!とかくらいにしか思ってなかった。寧ろ今思えば、アズールの魔法薬がしっかり効いていたのだと実感する。

闇の鏡の前で深呼吸する。後ろからぜぇはぁと息切れの音が聞こえるが、Aは一つ気づくことがあった。


『……どやって海の中で息すんの』

「そこ考えてなかったのかよ!!」


『エースうるさい』ジトっと睨みつける。「だ、大丈夫…」監督生は息切れしながら、胸ポケットから魔法薬の入った瓶を取り出した。Aは見覚えのある巻貝型の瓶をじっと見つめていた。

アズールが契約達成の手助け?絶対何かあるるに違いない。ボーッと魔法薬を見つめていると、腕を後ろへグッと引かれた。


「なにボーッとしてんの。」

『エース……』


なんでもないよ。そう笑って言うと彼は不機嫌そうに口をへの字に歪ませて、手荒に私の腕を離した。

魔法の薬→←なんでもない朝



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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2021年7月21日 20時

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