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2.元凶🐾 ページ3

わたしが三歳のとき、父と母が、離婚したの。

わたしが産まれる前から、別居は始まっていたようで、突然の離婚、というわけでは無く、むしろ計画的離婚。

だからわたしは、お父さんに会ったことがないんだ。

すっかり男性不信になってしまった母は、わたしに小学校受験をさせて、女学校に入れたの。

そのため、小学校中学年くらいまで、男性と関わったことはほとんどなかったの。

小学五年生になったばかりのある日、男性不信を克服した母が、再婚したの。

案の定、その再婚相手というのとは仲良くできなくて、結局最後までまともに話せなかったな。

言葉を交わすことなんてほとんどなくて、次第に母との会話も減ったの。

まるで、わが家には、言葉がないようだった。

おはようも、ただいまも、おかえりも。

何にもなかった、空っぽだったの。

学校の友だちは、中学受験に向けて勉強を始める中、わたしは一人、市立共学に行くことになった。

正直わたしは、みんなと一緒の私立女子中学に行きたかったんだけどね、お金ないって言われちゃった。

「は? 何考えてるの?」

このことを友だちに話したとき、数秒間の沈黙の後、最初に出た言葉がこれだった。

今でも強烈な記憶として全身に焼き付いている、この一言。

つづいて、みんな口々に、

「親のお金のために自分の進路変えるとか、本当に、バカなの?」

「私はやだよ。Aちゃんだけ別のとこ行っちゃうの」

「そんなにお金なかったの?」

なんて。

中でもクラス一のお嬢様が放った一言は、いまでも鮮明に覚えてる。

「貧乏ちゃん、無理して学校来てたのね。
偉いわね〜、学校来て。
この時期に受験勉強しなくていいとか、本当に羨ましいわ。
あらでも、受験したかったのよね?
親のお金のせいで進路変えるとか、
可哀想ぉ〜!」

最大限に皮肉を込めた言い方。

上から見下すような態度。

嘲笑うような仕草。

目の動き方、言葉選び、声のトーン、表情。

その全てが、正確に、そして鮮度を保って、望んでもないのに、何度でも脳内再生されるの。

そして脳内再生される度に、鋭利な刃となってわたしの心を突き刺す。

その度に苦しむ辛さを、キミは想像できる?

その一件があって以来、わたしは学校に行けなくなったんだよ。



二ヶ月ほど経ったある日、母の妊娠が発覚したの。

学校に行けなくなってからも両親と会話できてなかったわたしにとって、それはわたしの居場所をさらに奪うものだった。

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作者名:うるえむっω・´ | 作成日時:2022年11月27日 0時

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