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まぁそんなことがあったからと言ってすぐデビューが決まるわけでもなく、また止まらない毎日を過ごす。
そんな私に転機が訪れたのはそのちょっと後の事だった。
「A、ちょっといいか?」
急に事務所の社長直々に呼び出されてデビュー!?って浮かれてた私にきたのは突拍子もない提案だった。
「サバイバル番組にでないか?」
話を聞くと、プロデュース48、プロデュース101の第3シリーズ目が来年の4月にはじまるらしい
ここで結果を残せば即デビュー、途中で落ちたとしても話題性は抜群だ。
「まだ入所して間もn「やります!!やらせてください!!」
社長さんからの言葉に食い気味に返事をする。
入所して3ヶ月。あまりにも早い出世だ。
けれど、これを踏み台にできれば私は姉に近づく。
やらないわけがない。
「それでなんだが、この番組に出るには条件が3つある」
社長さんの言う条件
1つ目は体重をあと3キロ落とすこと
2つ目は次のテストでも10位以内に入ること
3つ目は、
「、、整形、、ですか、、、」
「そうだ。お前の実力ならあと2年もしないうちにデビューできる。だけど、売れるには実力だけじゃどうにもならない。それはわかるだろ?」
わかっている。この顔がこの世界で通用しないことは。
今までも父の遺伝子が見受けられないこの顔に対する不満は沢山あった。だけど、まだ私はこの顔に愛着があるみたいだ。
できることなら姉と同じ土俵で戦いたかった。
だけど現実は甘くない。無理なら諦めるしかない。
何かを得るためには何かを捨てなければいけない。
仕方ない。これも姉に近づくためだ。
私はそう心を押し込んで小さく頷く
小顔矯正、目頭切開、ヒアルロン酸、中顔面短縮
鼻が高いこととそこまで大きくなかった顔のおかげでそこそこの整形で済んだ私の顔は、姉に大きく近づいた。
本当の姉妹のような完璧な見た目に、ずっとなりたかったはずの顔に、私じゃない誰かを見ている気がして寒気がする。
ずっと望んでいたことだ。幼少期から姉と似ていなかったこの顔。友達には似ていないとバカにされることもあった。
ブスだって何度も思ったし、たまに喧嘩した時に見る父は、私の顔を憎らしそうに睨んでいることも知っていた。
だからこれでよかったのだ。
これで全てが揃った。
きっと私はデビューできる。
早く姉と同じ舞台に立ちたい。
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作者名:チーズケーキ | 作成日時:2024年2月19日 14時