12月 ページ6
.
それから半年。
私は、毎日地獄のようなレッスンを受けながら学校に通う。
平日は、学校へ行って練習室で夜まで練習、家に帰ってからもずっと踊って、寝る時間なんてほとんどない。
休日なんて18時間は練習室だ。家に帰ることの方が少ない。
仕方がない。中小企業は、デビューしやすいが、お金はないから一流の先生はついてくれない。
質が落ちる分、時間でカバーするのだ。
そんな毎日でボロボロになっていく体と精神。
止まらない音楽と、止まらない罵声、終わらないマラソンをしてる気分だった。
だけど私は止まることはできない。
その目的意識だけははっきりしていて、熱が出ても、頭が痛くても、どれだけしんどくても決してやめるという選択肢だけは出てこなかった。
「よし、今日はここまで、お疲れ様。」
今日も地獄の練習が終わって自主練してから家に帰る。
低気圧で頭が痛くてフラフラになりながら歩く10時過ぎ。
アドレナリンでわからなかったけど明らかに練習前より酷くなってて、薬きらしてたなぁ、なんて思いながら頑張って歩いて帰っていると話しかけられた
「あの、、、大丈夫ですか?」
ナンパ?と思って顔を上げると男の人が心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫です」
話しかけられるほどしんどそうな顔してたのかと反省しつつ迷惑をかけるわけにも行かないので歩こうとすると急に止まった反動でよろけてしまう。
「大丈夫じゃないじゃないですか!!」
「ちょっと頭痛くて、、、」
「ええ、大丈夫ですか!!あ、これ薬と水です!あ、タクシー!」
「あ、大丈夫です、、」
「いいんです!受け取ってください!運転手さんこれお金!この子を家まで送ってください!」
男の子は私をタクシーに押し込んで消えていった。
韓国っていい人いるんだな、なんて感心しながら住所を伝えて送ってもらう。
いつか、私が有名になった時、彼にお返ししよう。
そうして、私の夢がまたひとつ増えた。
211人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズケーキ | 作成日時:2024年2月19日 14時