逆境の中で咲く花はどの花よりも美しい (ページ26)

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.hayun side

「お疲れ様。頑張ったね。」

「..ハユナ..」

8月31日

とうとう20人の中からデビューが決まる日。私たち脱落組も最後のネッコヤのステージとデビュー組を見届けようと集まった。

A達は今からステージもあるからちゃんとした挨拶しかできなかったけど頑張れって背中だけは押しといた。
すごい離れたくなさそうだったけど笑

あれから1ヶ月経たって私の声は順調に戻りつつある。まだ高音は安定はしてないけど出るようにもなった。

はじめて、また会おうを聞いた時、"私の歌だ"と思った。私以外この歌を物にできないって本気で感じた。

だから歌う事を禁止された時、私は目の前が真っ暗になった。歌が取り柄の私にとってそれを剥奪されたると言うことは死ぬ事と同意義だったんだ。

だけど、あのステージを披露した時、私は悟った。
練習でも成功しなかったのに、最後の最後、ステージで自分のものにしてきたAに、勝てないって本能で感じた

空気が変わる。
あの子の歌で私たちの周りには花が咲く。

きっと私が歌ってもここまで空気を変えることはできないし4位になることすら無理だっだろう。

案の定Aは29位から5位に一気に駆け上がっていた。
一緒にデビューしたかったなんて夢は叶わなかったけどこれでいいんだって納得できてしまったんだ。

だから今は悔しくもないし頑張ってほしいと思う。

we togetterは、2週間しか経っていないのに洗礼されたパフォーマンスだった。

踊っている時のAは楽しそうで、すでにデビューしたんじゃないという貫禄と存在感を感じる。

「誰に投票した？」

「ハユンはAに決まってるでしょ」

「いやぁ、私いなくなってからウォニョンと親しくしてたからなぁ」

「そんなこと言いながらAに投票してたとこ見てたからね。ほんと夫婦」

100日前。隣に座った可愛い子に、私は声をかけた。
1人で入ってきて不安そうな顔で座ったその子は、私の好きな先輩に雰囲気が似ていから。ほとんど無意識だった。

名前は佐倉A。日本人で1人で渡韓したとか、色々質問攻めしたから引かれたかなって思ってたのにずっと私の隣にいてくれた子。

ダンスが得意で、無自覚愛嬌マシーンで、歌は苦手かもしれないけど絶対に逃げないそんな子。

私のこと好きにさせたんだから、ちゃんとデビューしてくれなきゃ困るよ。

A。

私は12位と光るモニターから目が離せなかった。