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毎日朝早くから夜遅くまで練習をしてかなり精度も高くなった頃。コンセプト評価までまであと3日。
それでも私はまだ高音が安定しないでいた。
「あれ、ハユンちゃんどこ行ったか知らない?」
さっきまでみんなと練習していたけど急にどこかへいってしまったらしく姿が見当たらない。
自主練で他の場所に行くことはあっても一言声をかけるから急にいなくなることなんて初めてだった。
「ちょっと私探してきます。」
練習室を飛びだしていそうなところ探すけど見当たらない。
ほかのグループの子達に聞いてみたけど見ていないらしい。
いなくなってたらどうしようと焦っていると奥の小さな部屋から音源が聞こえてきた。
扉を開けるとそこには泣きながら踊るハユンがいた。
「え。ちょ」
私が急いで部屋に入ると止まる音源。
急いで拭う涙になんとも言えない気持ちになる。
改めてみてみると大きくなった隈とボロボロの靴、朝と変わってるタオル。
あぁまたこの子は1人で頑張ってたんだ。
高音が出ない私に、気を使って1人で練習してたんだ。
「...私、歌ちゃんと歌えないから..ダンスだけでもって、でもうまくいかなくて..」
「..ごめんね。私のこと思って1人で練習してたんだよね。」
私はハユンを抱きしめる。
うわぁぁぁんって泣くのが止まらなくなったハユンを見るときっとずっと我慢してたんだろうなって思うと私は謝ることしかできなかった。
「..ごめんね、ごめんね、」
私が背中をさすって抱きしめていると他のメンバーもやってきて全員が抱きついて。全員で泣いた。
プレッシャーに押し殺されながら私たちは練習していた。
足りない時間を寝る時間で補っている私たちは、体の限界を感じながらそれでも止まれない。
だけど、この瞬間は、そのプレッシャーがなくなった。そんな気がした。
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作者名:チーズケーキ | 作成日時:2024年2月19日 14時