2016年6月 ページ2
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「まじで尊い。」
「まじで茉莉ちゃん可愛いわ。」
「やんな。まぁ自慢のお姉ちゃんってやつ?」
中学3年生。
昔、私の隣で笑っていた姉は今画面の奥で笑っている。
2012年にデビューした姉.茉莉は、今や韓国を代表するKPOPアイドルだ。
私は、というとなんの変哲もないただの中学生。
退屈な授業、普通の給食、友達とのひと時、私はそんな日常の波に身を委ね、特筆すべき冒険やドラマがないそんな日々を過ごす。
中学生はよく夢を聞かれるけれど、昔よく言っていた"アイドル"になりたいと夢もいつしか曖昧になっていた。
「今から遊ばん?」
「ごめんー、今日ダンス!」
「うわ、水曜か!頑張れ!発表会いく!」
「ありがとうー!」
学校帰り、友達からの遊びの誘いを断ってまでいくダンスのレッスン。
曖昧になっている夢も、まだ完璧に諦められているわけではないらしい。
私は姉が韓国に行ってからもダンスだけは続けている。
「おはようございまーす」
「おはよ〜。見たで!また茉莉ちゃん出てたやん!」
「可愛いかったやろ?Aのサインいる?笑」
「なんで?笑」
「天下の茉莉の妹様やで?価値あるやろ?笑」
「ないわ!!そんなボケする前に着替えて。」
私は友達と軽い話をしながら着替える。
始まったレッスン。
流れ出す音楽に私は身を委ねる。
あぁ、楽しい。
なんの変哲もない人生の中で、私の心が弾む瞬間。
メロディから湧き上がる色彩や感情が、私の面白みのない人生に一筋の光が差し込ませていた。
今日までは。
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作者名:チーズケーキ | 作成日時:2024年2月19日 14時