これも日常【うらたぬき】

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｢ばかじゃん、手冷えすぎ｣


冷え性なんだから暖かくしろっていつも言ってるだろ？
首を傾げながら私の冷え切った両手をおもむろに掴み、ぎゅっと握り締められた

子供体温なうらたさんの手のひらはじんわりと暖かく、先程までのかじかみが一気に和ぐ


｢毎年一緒に初詣行ってるし、今年も行きたくて誘っちゃった｣

｢なにそれ可愛いかよ… 、おま、ほんとに30歳？ほんとに三十路？？｣

｢…俺割と歳気にしてるんだけど｣


ほっぺたを含ませてぷいとそっぽを向くうらたさんはやはり30歳には見えないほど幼く感じるし、なにより可愛い。

言うなれば弟を見てるような気分。あれ、これ前にも言ったっけ

そんなコントじみたテンポ良い会話を交えながら改札を抜け、ほぼ無人のホームへと向かう

その間も私の左手は彼の掌の中。寒い寒いとボヤいたうらたさんは私の手を握ったまま自身のポケットへと手を突っ込んだ

いやいやアンタ、私の右手と左手の寒暖差やべぇよ。右手が今にも凍え死にそうだよ。


｢…そうだうらたさん、あけましておめでとう｣

｢ん、おめでとうございます｣

｢今年もよろしくね｣

｢おう、今年も俺だけのAでいろよな｣

｢エッ私うらたさんのものになった覚えないんだけど｣

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