【歌い手】惚、好、愛、結 team.B【大型コラボ】 (ページ22)

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体のそこかしこの傷が、じくじくと治っていく。そのむずがゆい感覚で目が覚めた。白い靄に包まれた空間に、俺は浮いていた。

「ここ............A、は？」

　どこかうつらうつらとする朧気な感覚で、それでもAのことが真っ先に思い浮かんだ。地に足も付かない状態でしかし首と目を回す。

　どこに、いるんだ。

　と、その刹那。

　ぼぅ...と、目の前で手の平くらいの光が現れ、白い空間を透明に照らした。...何だこの既視感。もう知ってるこれ神様辺りが来るときのやつだテンプレ過ぎるだろ何万回も見たぞ。
　辟易にも似た感情を抱きながら光を見つめていると、それは膨らんで人を形作る。

『神だ』

「知っとるわ。それよりAはどこや」

『いや情緒』

「そんなのええから。...ほんとにどうでもええねん。Aは？状況は？頼む、教えてくれ」

　小さい溜め息が吐かれた。僅かに平静を取り戻し、知らず知らずのうちに詰め寄っていたこと気がついて一歩後ろに下がる。

「っ悪い、だけど」

『謝らんでいい。お前さんの気持ちもわかる』

　妙に大人びた言葉を使う。見た目から年齢を読み取ることはできなかった。まだ十代のようにも、年老いた五十代のようにも見える。それがどこか魅力的だった。

『...結論から言う。Aは、今、仮死状態にある』

「、っ！」

　息が詰まった。

　覚悟は、していた。目覚めたときに彼女がいないこと。彼女の―――Aの気配が、感じられないこと。
　半身を失ったような、焼けるような胸の痛み。

　だけど...やっぱり、その現実は、一人で受け止めるには重すぎて。
　今まで。二人だったのに。
　辛いことも苦しいことも受け入れがたいことも全部。

　二人で、分け合ってきたのに。

『待て。まだ飲み込むな。...続きが、ある』

　そう俺の思考を制止した神は、何とも歯痒い表情を浮かべたまま話を続けた。