【歌い手】惚、好、愛、結 team.B【大型コラボ】 (ページ13)

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＊ページ13

♡*♡

れきしになをのこして。

♡*♡

まふ今、時間ある?

Aどしたー?

まふ来て、お願い。

珍しく、緑色の吹き出しが懇願を呟いた。

♡*♡

目を瞑っていても辿れる、通い慣れた道のりを数分。軽快なインターフォンとは裏腹に、沈んだ表情の家主が顔を出した。

２人の定位置に着いて開口一番、出された紅茶に口を付ける暇さえなく放たれた言の葉。

「ごめんね」

まったく。この幼なじみは、いくつになっても変わらないのね。

「あのね、Aに聞いてほしい話があって」
「うん？」
「今度、ワンマンライブをさせてもらえることになったんだ」
「え、おめでとう！場所は？」

少しの逡巡と、自信のなさげな震え声。紡がれたのは、掠れそうな６文字。

＿＿せいぶどーむ。

「……どーむ」
「うん。ここまで来たかって、かん、じ……だよ、ね」

不安気な笑顔を、一粒の雫が染め上げる。はらり、はらりと、花弁が零れるように、箍が外れたかのように、涙が溢れ出す。

久しく見ることのなかった煌めきに、思わず息が止まった。

「ははっ、格好悪いね。……こわく、なっちゃった」
「まふ、」

テーブル一つ挟んだソファから、彼のすぐ傍。足元にしゃがみ込んで、その手を包み込む。私よりも遥かに大きくて、数多の世界を創造してきた大きな手は、私なんかには到底包み込めなかった。

「埋まらなかったら、どうしよう。まだ早いって、反対されたら、どうしよう。僕なんかが、あのステージに立っても、」
「まふ！」

ぱちん。

乾いた音が響く。頬を挟んだ両手が、ジンジンと痺れた。

後ろばかりを見詰めていないで、目の前に居る私を見てよ。

ねぇ、貴方の一番のファンの、私の声を聞いてよ。

♡*♡

きっと貴方は、

広大な歴史の1ページに名を刻む。

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