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天界との境界線、静寂が支配している不可侵の森。
その中にある、白い幹に黒の葉を茂らせた大きな木の上に登り、背中を預ける。
待ち人は、思い焦がれたあの人は、今日も来るのだろうか。


そんな心配もすぐに消えた。カサカサと音をたてて彼女はやってきた。
神とも思える神々しさを持った俺には眩しすぎる愛する人(敵の王様)が。



「天界のトップがこんなとこ1人できてえぇんか?」

「そちらこそ、魔界の四天王とも呼ばれる実力者が1人で聖王に会いに来ていいのですか。」

「お互い様やろ。それに、俺のほうは俺がルールやからえぇの。」


木の上と木の下。その距離およそ1m。
互いに互いの魔力で苦しまない、ぎりぎりの距離。
これ以上近づいてしまえば、相反する魔力が互いを傷つけてしまうから。


「なぁ、そっちもそろそろ総攻撃とか言うとるん?」

「そっちも、ということはそちらもですか。」

「…まぁ、来るなら、迎え撃たんとな。」

「そう、ですよね。」

「そんな泣きそうな声せんといてや。」


叶うのならば、抱きしめてキスをして、撫でて安心させてあげたいが
それは叶わない。この、気持ちはおそらく俺だけが抱いているものやから。
……そう思っておかないと、彼女を傷つけてしまいそうだから。


そもそも俺らは敵対している関係。
こうやって秘密に会っているということも、ばれたら大変なことになる。
聖王という、天界の頂点に立つ存在が。


まさか、魔界の四天王に会っているなんてことが彼女の仲間に知れたら。
……その時はその時で、堕としてしまえばいいとか邪な考えは浮かぶが。


「この争いが終わることはないのでしょうか…。」

「ないやろ、俺らはそれこそ生まれたときから互いに互いを害する存在や。」


現にこの距離でも、彼女の聖なる力は俺の肌に刺すような痛みを与えてきている。
同じように俺の力も、どう抑えたとしても彼女に痛みを与えてしまうのだろう。
それなのに、俺も、彼女もこの場所へ通う。

それは、互いに決して宿してはいけない感情のためにだろうか。
この感情を宿してしまうのが、運命で決まっていたことならば……


「運命は、残酷やな。」

「え?」

「争いを止めるなら…俺らがもう会えないようにこの境界線を封じるしかないなんて。」

「ここを……封印。」



その後、特に話すこともないままで。
少しの痛みと、心地よい沈黙が続いた。
彼女の姿を、忘れないように。目に焼き付けたまま。

*→←【志麻】Inviolability/Elice



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設定タグ:歌い手 , 大型コラボ,合作 , 四字熟語   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年8月31日 14時

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