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「ねぇセンちゃん。あれ何のジュースなわけ?」
「いやーごめん!あれトマトジュースかと思ったけど違ったわー。」
水を何敗が飲んで落ち着いたころ、私はさっきの許すことは忘れて、心を鬼にして聞く。これは簡単には許してやらないんだからね。ジト目で見つめればセンちゃんはごめんと誤りを続けつつ私の背中を撫でるばかりだった。そんな様子を志麻ちゃんは一瞥して言う。
「ま、あれ飲めないんじゃあお前の発言は嘘に決まってたな」
夕方の吸血鬼計画
「あれなに?舌がびりびりしたんだけど」
センちゃんは少しの間考え、それでもまだうーんと唸りつつ
「一種のお酒みたいなもんです。Aにはまだ早かったみたいですねぇ」
ニコニコとおこちゃま認定をされてしまい分かりやすい不機嫌になる。私の事を二人とも遊んでどこか楽しいのやら。
それでも、二人と一緒にいればやっぱり一番に落ち着くんだと思う。幼いころから喧嘩は多くて、三人のうち二人が喧嘩をしたら残りの一人の家に集まって仲直りしていた。大体は私と志麻ちゃんの喧嘩だったからセンちゃん家に集まって夕飯をごちそうしてもらうことばっかりだったし。
*
その中でも、センちゃんと志麻ちゃんが珍しく一回だけ。二人が大けがを負って帰ってきたことがある。二人の顔が台無し、なんて言ってしまうのは申し訳ないが、二人が拳で殴り合った、と聞けば互いの親は血の気が引いていくようだった。二人が一回だけ、喧嘩をした。体の方にも重そうなあざがぽつぽつと浮き出ていて、学生服のままだったためシャツについた血はとても赤々しいものだった。シャツを洗って、二人の顔の傷を消毒していろいろなサイズの絆創膏を張り終えると、二人は痛みに顔をゆがめることもなくただ茫然として、瞳が濁っているような、虚ろになったまま座ったままだった。二人の母親が家に連れて帰ろうとしても二人が動くことはなく、その日は私の家で二人は泊まることになった。
二人とも唇、唇の近くには怪我がなかったためご飯はかろうじて食べていた。が、おにぎり一つ分ほどしか食べない二人を見てもっと食べて、なんて言えることもなく。二人がお風呂を出てもソファー近くに座って呆けているところを見てよりそえることもなく。私は何ができるのかと無力さに悲しんだ。
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