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「馬鹿なん?寝過ぎなだけやろ」
シンクロして罵倒されるこっちの身にもなってほしい。結構な心にダメージが来ますからね。確かにそういわれればそんな気もしなくもない……とか腑に落ちそうになっている私を気のせいなのかも?なんて決定づけたのは二人の証言だからこそなんだろう。やれやれと苦笑を私に向けるのはセンラ、通称センちゃん。私の発言がツボにはまったのか独特の笑いを始めているのが志麻、志麻ちゃんと呼んでいます。この二人が私の幼馴染で、嫌でもお互いの事を知っているからこそ。嘘は嘘、真実は真実だと言い切れるのだと思う。
「いや志麻ちゃん笑いすぎでしょ……もうこれで一週間だよ?結構信ぴょう性あるって信じてくれてもよくないですか」
「はいはい、落ち着いて。ジュースのむ?」
センちゃんは子供の戯言だと思っているのか相手にもしてくれない。台所からぴょこっと顔を出して笑顔を向けてくる。その笑顔で優しい発言をしてくれるんだったら満点なのにな、志麻ちゃんの笑い声が絶えない。うるさいぞと少し眉を上げて頬を軽くつまんで引っ張れば、向こうもやり返してくる。結構柔らかくてすべすべな肌をしていることを自分と比べてしまいさらに引っ張ると、志麻ちゃんは再び笑い出す。笑いを止めようとしたのに、なぜだ。
「あーあ、二人とも子供なんだから。僕が凄く苦労するんですからね」
暑い日差しを遮ったカーテンがふんわりと風になびいて、センちゃんの蜂蜜色の髪の毛も一緒に揺れる。ふわふわとシャンプーの香りがして、センちゃんは優しいと感じてしまう。起こった時が怖いから優しいなんて言ってあげません。氷がカラン、と音を立てたのと同時に、一度休憩お互い送りあうことにした。氷入りのジュースが三人分、入ったトレイからピンクのストローが入ったコップを一番に戴く。ストローにも申し訳ないけど使わないことにして。抜いたコップを一気飲みする。後ろから二人分のため息が漏れたのを確認したが、今だけは夏の暑さとジュースの冷たさに免じて許してあげた。ふふん、歌を口ずさんでみようか。
*
と。思ったが。
「……!?うぇっ。げほっ……!」
喉に突然来た威圧感と今までに感じたことのない味が襲い掛かる。舌がびりびりして、だんだん手のひらにもその痺れは感染していく。コップの中身をこぼしてしまわないようにゆっくりに地面に置きながら、この中身をどこかで感じたことがあるような気もした。
*→←【志麻,センラ】私、吸血鬼かもしれなかった夕方/ねこた
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