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××
「泣きたい時は泣いてもええんよ。」
「Aを振るなんて彼奴は見る目ないな!」
私が泣いている横で、ひとりで延々と喋る坂田。
…だから煩いんだって。
私の気持ちを代弁するかのように、綺麗な夕暮れだったのが一転、ポツポツと雨が降ってくる。
傘を差さなくても平気な感じのにわか雨だけど、このままここに居たら風邪を引いてしまうかもしれない。
「…帰ろ?な?」
『……うん。』
そう差し出された手を握ってしまったのは、私の弱さからなんだろうか。それとも坂田の優しさがそうさせたんだろうか。
わからないけど、繋がれた手は温かかった。
『好きだったのに。』
「おん。」
『いっぱい、頑張ったのに。』
知っとるよ、なんて優しい言葉。
ずるいよ、涙が止まらなくなってしまう。
坂田はなんで私と居てくれるんだろう。
なんで私の手を引いてくれるんだろう。
なんで、そんなに優しいの。
『……ばか。』
『ばかばか…、坂田のばーか!!』
「……え、俺ェ!?」
手を解いて坂田よりも先で振り返る。
気がつけば、にわか雨は止んでいた。
『雨が止みませんね!』
「え!?」
『んふっ、』
調べてみて!家に帰ってからね!なんて、なんだか楽しくなってしまってへらへら笑う。
坂田が居なかったら笑えなかっただろう。
……だからこそ。
××
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