検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:51,965 hit

井戸へご案内の段 ページ17

聞き覚えのあるポップな曲で目が覚めた。薄っすらと目を開ければ、目の前のスマホが振動している。

スマホの明るい画面は寝起きには辛い。画面をタップして曲を止めると、のっそりと起き上がった。


そっか。あのまま寝ちゃったんか。布団からはみ出たところで寝落ちした為か、体が冷えている。


「へっくし!」

山本
「あら、風邪でも引いた?」

「わっ」


驚いてスマホを落としてしまった。


「シナ先生」


部屋の入口の近くに、シナ先生が苦笑いで立っている。若い姿だ。


山本
「おはよう、Aちゃん。その顔どうしたの?」

「えっ」

山本
「もしかして昨日泣いた?」


ああ、そういうことか。散々泣いたくせに、そのまま寝てしまったもんだから、涙の痕だったり目が赤くなったりしているのだろう。

めっちゃ恥ずかしい。


「……泣きました。できればあまり見ないでいただけると嬉しいです……」

山本
「フフ、そうね、ごめんなさい。顔を洗いに行きましょう?その顔をどうにかしないとね」

「ありがとうございます……」


いつもの服……ではなく、新しい服に着替える。前のは汚れてしまったので、新品を用意してくれたらしい。使い始めて数日で捨てることになるとは。申し訳ない。

今度のは青を基調とした服だった。


山本
「さあ、行きましょう」

「はい」


シナ先生に着いていくと、井戸が見えてきた。初めて見たが、アニメなどでよく見る井戸と大体同じだった。


山本
「こうして水を汲んでね。重いから気をつけるのよ?」

「わかりました。ありがとうございます」

山本
「帰り方はわかる?」

「はい。大丈夫です」

山本
「じゃあ私は行くわね」


はい、と返事をしようとしたが、シナ先生がそれを遮って言った。


山本
「あと、昨夜は私の生徒が世話になったらしいわね。ありがとう。あの子達、とても嬉しそうだったわ」

「え……」

山本
「それじゃあね」


スッと一瞬で消えてしまったシナ先生を見送った後、そこには呆けた私が突っ立っていた。


昨夜ってことは、ユキちゃん、ともみちゃん、おしげちゃんのこと?だよね?


……嬉しそう……か。


あの三人が笑っているところを想像したら、元気が出てきた。


「よっしゃ、頑張ろっと!」


冷たい水を顔にかけたら、頭がシャキッとした。やる気は100%だ。

才能の段→←直前の一言



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
169人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぬう(プロフ) - 久しぶりに天女系の作品見た1番すんなり受け入れられた…初めてッッッ(汗)完結されていて少し悲しいですが面白かったです! (8月10日 7時) (レス) @page25 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - これで完結なんでしょうか……? とても面白かったです! 個人的にはこの先が気になるところ……綾部くんと鉢屋にめちゃめちゃヒヤヒヤしました。夢主ちゃん、頑張れ!! (2022年6月1日 22時) (レス) @page25 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - ぜひ完結まで読みたいです。大変かと思いますが更新していただけると嬉しいです! (2022年3月13日 12時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
こあ - 面白いです頑張ってください (2020年3月14日 18時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
紗那(プロフ) - とても楽しみにしています!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年11月6日 23時) (レス) id: a5ce07c098 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葉兎野鳥 | 作成日時:2018年9月25日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。