井戸へご案内の段 ページ17
聞き覚えのあるポップな曲で目が覚めた。薄っすらと目を開ければ、目の前のスマホが振動している。
スマホの明るい画面は寝起きには辛い。画面をタップして曲を止めると、のっそりと起き上がった。
そっか。あのまま寝ちゃったんか。布団からはみ出たところで寝落ちした為か、体が冷えている。
「へっくし!」
山本
「あら、風邪でも引いた?」
「わっ」
驚いてスマホを落としてしまった。
「シナ先生」
部屋の入口の近くに、シナ先生が苦笑いで立っている。若い姿だ。
山本
「おはよう、Aちゃん。その顔どうしたの?」
「えっ」
山本
「もしかして昨日泣いた?」
ああ、そういうことか。散々泣いたくせに、そのまま寝てしまったもんだから、涙の痕だったり目が赤くなったりしているのだろう。
めっちゃ恥ずかしい。
「……泣きました。できればあまり見ないでいただけると嬉しいです……」
山本
「フフ、そうね、ごめんなさい。顔を洗いに行きましょう?その顔をどうにかしないとね」
「ありがとうございます……」
いつもの服……ではなく、新しい服に着替える。前のは汚れてしまったので、新品を用意してくれたらしい。使い始めて数日で捨てることになるとは。申し訳ない。
今度のは青を基調とした服だった。
山本
「さあ、行きましょう」
「はい」
シナ先生に着いていくと、井戸が見えてきた。初めて見たが、アニメなどでよく見る井戸と大体同じだった。
山本
「こうして水を汲んでね。重いから気をつけるのよ?」
「わかりました。ありがとうございます」
山本
「帰り方はわかる?」
「はい。大丈夫です」
山本
「じゃあ私は行くわね」
はい、と返事をしようとしたが、シナ先生がそれを遮って言った。
山本
「あと、昨夜は私の生徒が世話になったらしいわね。ありがとう。あの子達、とても嬉しそうだったわ」
「え……」
山本
「それじゃあね」
スッと一瞬で消えてしまったシナ先生を見送った後、そこには呆けた私が突っ立っていた。
昨夜ってことは、ユキちゃん、ともみちゃん、おしげちゃんのこと?だよね?
……嬉しそう……か。
あの三人が笑っているところを想像したら、元気が出てきた。
「よっしゃ、頑張ろっと!」
冷たい水を顔にかけたら、頭がシャキッとした。やる気は100%だ。
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ぬう(プロフ) - 久しぶりに天女系の作品見た1番すんなり受け入れられた…初めてッッッ(汗)完結されていて少し悲しいですが面白かったです! (8月10日 7時) (レス) @page25 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - これで完結なんでしょうか……? とても面白かったです! 個人的にはこの先が気になるところ……綾部くんと鉢屋にめちゃめちゃヒヤヒヤしました。夢主ちゃん、頑張れ!! (2022年6月1日 22時) (レス) @page25 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - ぜひ完結まで読みたいです。大変かと思いますが更新していただけると嬉しいです! (2022年3月13日 12時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
こあ - 面白いです頑張ってください (2020年3月14日 18時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
紗那(プロフ) - とても楽しみにしています!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年11月6日 23時) (レス) id: a5ce07c098 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉兎野鳥 | 作成日時:2018年9月25日 15時