決して出さないその気持ち ページ14
「こら勝己!謝りなさい!」
そう言うと、このガキの母親らしき女性は、こいつの頭を思いっきり叩いた。なるほど、親が親なら子も子、ってことだな。なかなか強烈な母親だ。
しかし、躊躇なく自分の子供であるこのクソガキを叩けるのは良いと思う。うん、すっきりした。
「いってーなぁ!」
「すみません。息子が失礼なことを言って……」
「いいんです、気にしないでください。これくらいの方が元気があってよろしいじゃないですか」
と、営業スマイルで言うと、クソガキが「気持ちわり」などと抜かした。こいつ次会ったら絶対にぶん殴る。
それでは、と金髪親子は去っていった。
そして忘れた頃にやって来るもう一人のガキ。
「Aお姉さーん!これがいい!これ買って!」
「あぁ?んだそれ」
緑谷クンが手に抱えていたのは、オールマイトがでかでかとプリントされているタオルだった。
「っぷ。こんなの買って恥ずかしくないのか?」
「なんてだよ!かっこいいだろ!」
「はいはいそうだな。かっこいいよなオールマイト」
「そうでしょ!僕の憧れさ!」
ガキはこういうとき扱いやすいからいいな。
数秒前は顔を顰めていたのに、好きな人物を褒めたらすぐに機嫌が良くなる。例え、それが本心じゃないとしても。
「3080円になります」
は?なんでタオル一枚でそんなにするんだよ。あれか?ヒーローグッズは全部高いのか?それとも私が可笑しいのか?
っと、忘れるところだった。
「すみません、これもお願いします」
「かしこまりました」
私は赤色のブレスレットを出した。これもエンデヴァーのコーナーにあった物だ。どうやら、エンデヴァーの炎をイメージしているらしい。母さんは赤が好きだから、喜ぶかもしれない。
「4930円になります」
やっぱ高ぇな。
私が5000円を出すと、70円のお釣りを渡されるとき、店員が笑って言った。
「弟さんですか?可愛らしいですね」
目線は緑谷クンに向いていた。
……そっか。周りから見たら、私と緑谷クンは姉弟に見えるのか。
「……そうですね」
「またいらしてくださいね」
「弟が行きたいと言ったら」
感じの良い店員だ。
どこか心がポカポカしていた。
そうかそうか、私は緑谷クンの姉に見えるのか。
100人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朕 - こんにちは!この作品の不思議な雰囲気というか和むような感じが好きです。夢主がチートとかではなくてのめり込みやすいというか…とにかく面白かったです! (8月2日 18時) (レス) @page22 id: ed7980a554 (このIDを非表示/違反報告)
hiroakannna(プロフ) - お初です!あぁ…和むなぁ…。こういうの。このまま中学、高校とかも見てみたいです!これからも更新楽しみに待ってます!頑張って下さい! (2019年1月27日 18時) (レス) id: bc274ad562 (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - ハニーさん» それは良かったです! (2018年12月25日 23時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - アッこう云うおねショタッぽいの性癖に突き刺さるわ、ドストライクに刺さるわ( ˙-˙ ) (2018年12月15日 21時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - 紅葉さん» 本当ですか?良かったです!ヒロアカってこういう和み系が少ない(作者的には)と感じるので、息抜きになればと思って作りました。まあ、元がアクションなので仕方ないですけどね。 (2018年10月27日 19時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葉兎野鳥 | 作成日時:2018年7月3日 0時