だから馬鹿は嫌なんだ

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「スニョン？聞いてる？」



「あ、ごめん、なんて？」



「ううん、どうでもいいことだから大丈夫、でも、最近ずっと考えごと、多いね」



ヌナにそんなことを言われる



確かに、その通りだった



ヌナといるのに、Aのことばかり考えてしまっていた



「私には、言えないこと？」




「え、それは」




言えなかった



あの日以来、Aは目すら合わせてくれなくなった



それどころか、近づくだけでも、すっとどこかに行ってしまう



うぅ、避けられてる。つら。って思って、どうやったら、なんていうのがいいのか、ずっと考えてた



「やっぱ今のなし」



ごめんねってヌナが笑う



今の、ヌナ、なんとなくAみたいって思ったのは、二人とも傷ついた顔をしているから



こんなの、ヌナにも申し訳が立たない



Aのことは忘れてヌナだけを考えよう、と思っても、ふとした瞬間に浮かぶのはAの泣き顔



俺が、あんな顔させた



ヌナのこと、好きになりかけてたのに、今は、わからない



いや、好きなんだけど、胸を張って言えない



なんとなく常にAのことが引っかかっている



でもAが好きかと言われたらそれもわからない



ああ、こんなんだから、どっちも傷つけちゃう



俺は何がしたいんだろうってヌナを見ても、Aを見ても思うのだった



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