だから馬鹿は嫌なんだ

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俺が、今の彼女と付き合った時に言った言葉だった



カチンときた



Aなりの反抗だったのかもしれないし、本当にそう思ったのかもしれない



わからないけど、むかついた



「おれのことすきとかいってたくせに、そんな簡単に次に移れんだな」



こんなこと言うつもりはなかった




「結局、そんなあっさり忘れられるぐらいしか好きじゃなかったってことか」



こんなこと、言いたいんじゃない
この前はごめん、その一言だけでもいいのに



だけど、嫌味な言葉ばかり並べてしまう



まだ、あの時のことも謝れてないのに、もっと酷いことばっかり言ってる自覚はあった



うるうる、Aの瞳が揺れる



やばい、また泣かせる



そう思った時にはもう遅くて



「ほんと、スニョンってさいてー」



ぽろり、涙が落ちた



拭おうと、手を伸ばすけど払いのけられた




「触らないで」



ちくり、また胸の奥が痛い




「スニョンって本当に、本当に馬鹿なんだね…なんか、スニョンと話してると虚しくなる」



え、めちゃくちゃ普通に、傷つく



「ほんとに、私のことほんの少しも考えてくれてないんだね」



軽蔑するような、目



「スニョンなんか、だいっきらい、こんな人好きになった私が馬鹿だった」



Aは走って行ってしまった



涙を拭おうと上げた手は宙ぶらりんになった



追いかけたけど、Aはもう、すっぽりと先輩の胸に収まっていた



俺が拭うことがなかった涙を、先輩の手が拭っていた



先輩は俺に気付いてちらっとこっちを見たけど、それだけだった




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