決意は揺らがない ページ41
「『彼岸花の向こう側』……」
「役者としては無名だから流石に蘇芳は出来ないだろうけどな。それでもいいなら、だがどうする？」
天馬の問いに、しばらく考え込むA。当然だ。
だってAは多分、まだ……。
「……やりたい」
……え？
「オーディション、受けたいです」
「分かった。オレから監督に言っておく」
「ありがとう、天馬くん」
マジか。
いや、俺としては嬉しい。
舞台に立つこいつをもう一度見たくないって言ったらウソになる。
……けど、やっぱり不安だ。
今だってまだ夢を見るのに。
「もし受かったときは、手伝いのことは気にしなくて大丈夫ですから！」
「いえ、そのくらい大丈夫です。それに受かるかどうかもまだわかりませんし、そもそもオーディション受けるって決めただけですよ？」
「気が早ぇよ、監督さん」
左京さんの言葉に笑う監督さん。つられて笑ってるなか、俺一人が笑ってない。
だってこいつは間違いなく受かる。
そしたらきっと……。
「……至さん？どうしました？」
「……何でもない」
監督さんに返した声も、きっと自分で思ってる以上に冷たかった、と思う。
「……疲れたから、今日はもう寝るね。おつー」
「お、おやすみなさい」
「あ、じゃあ私ももう寝ます。おやすみなさい」
おやすみ、おやすみなさい、と言い合う皆の声に背を向けて俺は部屋に戻った。
Aはすぐ後をついてくる。
部屋に入って電気をつけ、ドアを閉めたところでAに言った。
「……大丈夫なの」
「何がですか？」
「今日みたいなのならまだしも、本格的な稽古とか本番ってなったらお前……」
「正直、不安です」
俺の言葉を遮ってそう言うAの手はかすかに震えていて。
それでも俺を見る目はまっすぐだった。
「でも、今日のエチュードで思っちゃったんです。……やっぱり、私はお芝居が好き」
ふわりと微笑んだAに、不覚にもドキッとした。
「多分、受かって稽古が始まれば夢見はひどくなると思います。きっと至さんにも、今まで以上に迷惑をかけることになる。
……それでも、私はもう一度、お芝居がしたいです。
もう一度、舞台に立ちたいです」
真剣な目で俺を見据えるA。
そんなAを、俺は思わず抱きしめた。
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キャラメルドロップ(プロフ) - 暁さん» コメントありがとうございます。酔った至さんは絶対入れたかったので可愛いと云っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします (2017年6月23日 21時) (
レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 酔った至さん可愛い！！ (2017年6月23日 10時) (レス) id: 76ea3d36a7 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルドロップ(プロフ) - コメントありがとうございます。マイペース更新ですがこれからもよろしくお願いします (2017年6月20日 17時) (レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 至さん､､、最高！！！ (2017年6月20日 17時) (レス) id: cf1c8d1141 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キャラメルドロップ | 作成日時：2017年6月12日 2時
