芝居が好きって気持ち ページ40
「……私、演劇ってお客さんに違う世界を見せるものって前提でやってたんです。現実とは完全に切り離されたものを。
現実が舞台の劇だって、脚本は絶対にどこか空想めいた部分を残しています。あくまで現実とは違うから、そこで線引きをしている……と勝手に私は思ってるんですけど。
でも、『雨音の唄』は違うんです。あの劇は現実から切り離せない。演じる側も、観る側も。ノンフィクションだからっていうのもあると思うんですけど、自分たちの日常に散らばってることがそのまま脚本として書き起こされているような劇だからなんじゃないかなって、私は思います。
例えば、教室で誰かと喋っているシーン。当時の演出さんに言われたんですけど、役者は『喋る演技』をしちゃいけない。普通に、現実でも有り得るように『喋る』んです。話のテンポも反応も、何もかも。
でも劇ですから勿論声は大きくないといけないし、セリフははっきり聞こえなきゃいけない。小さくうなずくのだってある程度の動きの大きさがないと客席からは見えない。だからって『自然な演技』はやっちゃいけない。やっていいのは『私演じる月乃』じゃなくて『月乃』が喋って動かなきゃいけない。
それがすごく難しかったです」
長々と語ったAはそう締めくくるとため息を吐いた。
「あはは、まとまってませんね。長々しゃべっちゃってすみません」
「……Aさんは、本当にお芝居が大好きなんですね」
監督さんの、きっとなにげない一言。
それに一瞬驚いたような表情をして、Aは微笑んだ。
「……はい」
「……なら、芝居やるか？」
天馬の一言に、Aの顔はまた驚きに戻った。
「今度のドラマの監督の知り合いで舞台監督やってる人がいて、次の舞台のオーディションがそろそろあるらしい」
「脚本は何なんだ？」
左京さんの質問に、天馬はニヤリと笑って答えた。
「……『彼岸花の向こう側』、だ」
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キャラメルドロップ(プロフ) - 暁さん» コメントありがとうございます。酔った至さんは絶対入れたかったので可愛いと云っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします (2017年6月23日 21時) (
レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 酔った至さん可愛い！！ (2017年6月23日 10時) (レス) id: 76ea3d36a7 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルドロップ(プロフ) - コメントありがとうございます。マイペース更新ですがこれからもよろしくお願いします (2017年6月20日 17時) (レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 至さん､､、最高！！！ (2017年6月20日 17時) (レス) id: cf1c8d1141 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キャラメルドロップ | 作成日時：2017年6月12日 2時
