マイポートレイト side夢主 ページ28
中学で入ったのは演劇部だった。
楽しかった。
自分じゃない人間の人生を舞台上でのたった数十分だけ歩むことができる。
その数十分だけは、私は私じゃなくなる。
その感覚が、何より心地よかった。
「おや、中等部の子かい？」
誉さんに出会ったのも、演劇部の用事で高校棟の方に行った時だった。
滅多に行くことのない高校棟で迷ってしまった私を演劇部の部室へと案内してくれたのが彼だった。
第一印象は、『変わった人』。性格も髪型も。
でも何処か憎めない、かわいらしいところのある人だった。
その次に彼に出会ったのは、文化祭の時だ。
中高合同で行うそれの高校文学部のスペースに行った。
そこで、一つの詩と出会った。
『溢れるエモーション 響くパッション 私の心はレボリューション』
はっきり言って意味が分からなかった。今でも分からない。
でも、何処か懐かしいような気がして。何処か離れがたい感じがして。
その冊子に書かれていた詩を読み進めた。
やっぱり意味は解らなかった。
「ほほう、その詩集を手に取るとはなかなか見る目があるじゃないか」
振りむけば、いつか私を案内してくれた先輩がいた。
「おや、キミはいつかの演劇部の子かい？」
「そうです。あの時はありがとうございました」
頭を下げ、詩集を手に問う。
「これは先輩が書かれた詩なんですか？」
「分かるかね？！矢張り君はいい目をしている！その通り、此処に記された素晴らしき詩の数々は全てこの有栖川誉によって生み出されたものなのだよ！」
有栖川誉。なんというか、ドギツイ個性を体現したかのような名前だと思った。
「……正直、意味は理解できませんけど」
「ふむ、矢張り天才の思考は凡人には理解できないということなのだろうか」
少しムッとしたが、彼の様子を見るに本心から云っているらしい。
確かに私はちょっと器用なだけの凡人だけど、と思いながら続ける。
「でも、いい詩だなとは思います」
そこでふと時計を見る。
「やば、公演の準備行かなきゃ。先輩、この後中学演劇部の公演があるので是非見に来てください！」
失礼します！と頭を下げ出ていこうとすると「ま、待ちたまえ！」というそれまでぽかんとしていた先輩に腕を掴まれた。
「キミも名乗り給え」
「A。摂津Aです」
「Aくんだね。公演、見に行かせてもらうよ」
そう云って微笑んだ先輩は、とても綺麗だった。
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キャラメルドロップ(プロフ) - 暁さん» コメントありがとうございます。酔った至さんは絶対入れたかったので可愛いと云っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします (2017年6月23日 21時) (
レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 酔った至さん可愛い！！ (2017年6月23日 10時) (レス) id: 76ea3d36a7 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルドロップ(プロフ) - コメントありがとうございます。マイペース更新ですがこれからもよろしくお願いします (2017年6月20日 17時) (レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 至さん､､、最高！！！ (2017年6月20日 17時) (レス) id: cf1c8d1141 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キャラメルドロップ | 作成日時：2017年6月12日 2時
