マイポートレイト side夢主 ページ27
幼いころから器用だった。
大抵のことならできるなんてほどではないけど、それなりに他の子より勉強も運動も絵も上だった。
私の人生はイージーモードで、何をやったって他より上。そう思っていた。
万里が、小学校に入るまでは。
５歳年下の弟も器用だった。
大抵のことなら一度見れば出来るから、他の子より勉強も運動も絵もずば抜けて上だった。
万里がまだ小さいころは特に何も感じなかった。
少し年の離れた弟が可愛くて、皆に称賛される彼が弟であることが誇らしくて。
姉ちゃん姉ちゃんと自分の後ろをついてくる小さな弟が大好きで大好きで堪らなかった。
「姉ちゃん、ただいま！」
秋の、少し肌寒い日のことだった。
熱を出して学校を休んでいた私の部屋に、帰ってきた万里が嬉しそうな顔で駆けこんできた。
そのころにはすでに熱も下がっており、笑顔で万里を迎えることができた。
「お帰り。何か嬉しそうじゃん。どしたの？」
「見て！」
そう言って万里が見せてきたのは賞状。
「絵画コンクールで金賞獲ったんだ！」
私は思わず硬直してしまった。
夏休みの宿題で出た、絵画コンクールへの応募作品を描くこと。
万里と二人、別の角度から見たとあるお城を描いて提出した。
結構力作で、細部にまでこだわって描いた。
対して万里はあまりこだわりもなく、描けばいいんでしょ、という感じですらすらと進めていた。
おかげで私は２時間ほどかけたが、万里はわずか３０分でそれを描き上げた。
……それなのに。
金賞に選ばれるのはたった一人。
小学校に入ってから賞を幾度も取っていたが金賞は取れなかった。
最後の年、今年こそはと思っていたけど。
胸が苦しい。モヤモヤなんてものじゃない。
自分の中を、どす黒い何かが埋め尽くしていく。
苦しい、怖い、気持ち悪い。
醜い。
「姉ちゃん……？まだ調子悪いの？」
心配そうに見てくる万里。
私は無理矢理笑顔を作って、万里の頭を撫でた。
「ううん、大丈夫。おめでとう。リビングに母さんがおやつ用意してくれてるから、お祝いに私の分も上げる」
「いいの？！」
「うん。ちゃんと手を洗ってから食べなよ」
「ありがと姉ちゃん！」
嬉しそうに笑顔を浮かべて部屋を出ていった万里を見てから、私はため息を吐いた。
「……なんだ、これ」
意味の分からない感情に、恐怖を感じた。
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キャラメルドロップ(プロフ) - 暁さん» コメントありがとうございます。酔った至さんは絶対入れたかったので可愛いと云っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします (2017年6月23日 21時) (
レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 酔った至さん可愛い！！ (2017年6月23日 10時) (レス) id: 76ea3d36a7 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルドロップ(プロフ) - コメントありがとうございます。マイペース更新ですがこれからもよろしくお願いします (2017年6月20日 17時) (レス) id: 2ac9dd5393 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 至さん､､、最高！！！ (2017年6月20日 17時) (レス) id: cf1c8d1141 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キャラメルドロップ | 作成日時：2017年6月12日 2時
