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「……良く寝たぞォォォ〜！」
ーーなんだ、ここ。
彼は起きると部屋の中にいた。というか、確実に誰かを殴り倒しての起床だった。ん？と前を向けば、汗をだらだらと流し固まっている男が二人。
突然襲いかかってきたんで刀は弾き飛ばす。
「俺はモンキー・D・ルフィ！よろしく！」
爽やかな挨拶だった。空気は3秒ほど、この桁違いにおかしな青年のおかげで止まっていた。
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コビーは、思った。この人はなんて強いんだろうと。
樽の中から出てきたときも、僕だったら絶対にあんな風になれやしない。海賊に手下にされた僕とは、ルフィさんはぜんぜん生きている世界が違う気がする。
アルビダ様に命じられて樽を運んでいたとき、樽の中から急に出てきたのが、ルフィさんだった。他の方は、ルフィさんの強さにすっかり怯えてしまって、どこかへいってしまった。
食料庫に案内していたとき、僕は自分のことを言ったんだ。釣りに出ようとしたら捕まって、海賊の手下にさせられてしまったと……。けどルフィさんは笑ってこう言ったんだ。
「オレ、お前嫌いだなー！」
僕だって、こんな自分は嫌いです。でも相手はアルビダ様だ。海賊なんだ。絶対に無理に決まってる。
食料庫に並べられた箱に背中を預けて、ルフィさんの話を聞く。すると彼はこうも言ったんです。
「ん？俺は海賊王になる！」と。
これに、思わず僕は勢い良く言ってしまったんです。
「か、海賊王ってのはこの世の全てを手に入れた者の称号ですよ！？富と名声と力とひとつなぎの大秘宝、ワンピースを目指すってことですよ！そっ……そんなの無理！絶対に無理です！むりむりむりむ……っ！！…………どーして殴るんですか？」
「なんとなくだ」
僕は殴られた頭を押さえながら、少し涙目でルフィさんを見た。今まで見たルフィさんの表情で、一番輝いていた瞬間だった。
「できるかどうかじゃない。なりないから、やるんだ。」
(いつかこの船の手下にされた君へ、できるかどうかじゃない。なりないんなら、なりにいって。)
僕はこの言葉をどこかで知っていてーーどこかで、忘れていたのだと気がついた。
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作者名：K | 作成日時：2019年5月18日 15時
