密室での事。 ページ10
※少し甘め
私は確かに自分の部屋で寝ていた。
なのにいつのまにやら、見知らぬ部屋にいたのだ。
何故かハルヤと一緒に。
そして彼の片手と私の片手が鎖で巻かれていた。
「ちょっと」
「何だ」
「これ何、なんで鎖で繋がれてるの」
「知るか」
ハルヤも私と同じ目に遭ったらしい。
不機嫌なのが、口調と声で分かる。
頑張って繋がれていない手で外そうとしても、びくともしなかった。
諦めて大人しくしていると、背中合わせの私達の前に一枚の紙が落ちてきた。
その紙には何も書かれていなかったが、次第に文字が浮き彫りになった。
『脱出方法:どちらかが相手にキスをする』
「よし、さっさと終わらせるぞ」
「正気?ハルヤ、この文字の意味分かってる?」
ハルヤの口から出た意外すぎる言葉に、驚きつつ呆れていると
急に距離を縮めてきた。
「え、やだっ、ちょっと」
「早く出たいでしょ?」
「む、無理······」
頑なに拒むと、溜め息を一つついて、私の目を手で隠してきた。
「ハルヤ······っん」
唇に暖かく柔らかいものがあたった。
小さくリップ音が聞こえると、手も、柔らかいものも離れていく。
目を開くと、上機嫌なハルヤの顔が見えた。
音を立てて鎖は壊れ、空間は消えて、自分の部屋にいた。
でも、そんなことよりも頭を支配しているのは、ハルヤとキスをしたという事実。
「ふっ、顔真っ赤」
「うるさいっ、なんで急に······」
「悪くなかっただろ?」
「わ、悪い。悪すぎる!」
喉を鳴らして笑うと、また近づいてきた。
そして私の頬に当てると、耳元で囁くように言ってきた。
「もう一回、して良い?」
end
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