十三粒 ページ15
「······誰かいるのか?」
遠くから誰かの荒い息遣いが聞こえる。
鬼の出没するこんな所に、しかも夜に来るなんて命知らずな奴だ、と思いながら足を踏み入れる。
死なれても困るしな。
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木陰に潜み、様子を伺ってみると、鬼と少年が戦っていた。
鬼殺隊員なのか、日輪刀を持っている。かなり憔悴しているらしい。痛々しい傷が目立つ。
「とっととくたばれ!!」
「······っ、くそっ!」
鬼が高く飛び、少年の頭上から鋭い爪を持った手を振り下げる。
俺は腕の傷を気にする暇もなく目の前の鬼と少年の間に割り込むように身を投じて、鬼の腕を斬った。月の光が鬼の血に射し込み、鮮明な色を作り出していた。
「っ······」
傷を負った右腕で斬ると、反動が傷口に来て刺さるような痛みが生じる。
折角応急処置で止血した血が、またどくどくと脈を打ちながら腕を伝って落ちている気がする。
日輪刀を左手に持ち変えて、構え直す。
そのまま空中で体勢を崩した鬼の頸を、一思いに斬った。
やはり利き手では無いから、少しブレてしまう。
鬼はすぐに塵となって消えてしまった。
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