検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:33,259 hit

発見28 ページ33

暗い部屋に、月の光が窓から入ってくる。

たくさんの機械、五人の『博士』と言われる人。


そして、私は冷たい水のなかでプカプカと浮きながら、何本もの管を体に繋ぎながら

此処から出ることを望んで、その時を待つ。


そして、外に出て初めて地面に足をつけた。

私も、『博士』達のように、普通の人間として生きられる。

そう思っていたのに、そう言ってくれたのに。


『不完全なロボット』というレッテルを貼られ、処分されかけた。

必死で抵抗して、逃げようとした私の首を、誰かが掴んだ__________






「······、おい、A!」


誰かに呼び掛けられた、その声で一気に意識が浮上する。

呼吸を乱雑にしながら声のした方を振り替えると、洞潔さんが驚いた顔で私を見ていた。


「どうしたんだ、酷くうなされていたぞ?」

「········っ、いえ」


そうだ、あれは夢だ。もう過ぎ去ったことだ。

分かっているのに、掴まれた感触は生々しく残っている。


自分のからだの震えを静めるように腕を掴んだ手を離す。

そして、代わりにするようにスカートを握り、下を向くと、頭に何かが置かれた。


「······洞潔、さん?」

「·········何も言うな」


洞潔さんの手だ。

私より大きいその手は、優しい手つきで、ぎこちなく、私の頭を撫でる。

いつもの彼からは想像が出来ないことを今されているのだ。



洞潔さんの顔は見えないけれど、きっと見られないようにそっぽを向いているんだろう。

いかにも人を慰める事をしたことがなさそうなその姿が、彼らしいと思う。

教師なのに、それは如何なものかと思うけれど。



その優しさが、今の私には凄く効いて泣きそうになったけど、ぐっと堪えた。


今更になって、シャワーの音が聞こえてきた。

きっとハルヤ様がお風呂に入っているんだろう。


次第に気持ちも和らいで、落ち着いてくると、手が離れた。


「落ち着いたか?」

「はい、ありがとうございました」


そう言うと、安心したかのようにふっと笑った。









___________
________________


泣きそうな顔をしている夢主に戸惑いながら、彼なりの方法で慰めてあげる洞潔を

書きたかっただけ。

発見29→←お知らせ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:妖怪ウォッチ , シャドウサイド , 酒呑ハルヤ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Kaede(プロフ) - 地炎 美羅さん» ありがとうございます!頑張ります(*´∀`*) (2018年11月13日 21時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
地炎 美羅(プロフ) - とても面白いです! (2018年11月12日 19時) (レス) id: 58dbd0a658 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Kaede | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年10月21日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。