発見28 ページ33
暗い部屋に、月の光が窓から入ってくる。
たくさんの機械、五人の『博士』と言われる人。
そして、私は冷たい水のなかでプカプカと浮きながら、何本もの管を体に繋ぎながら
此処から出ることを望んで、その時を待つ。
そして、外に出て初めて地面に足をつけた。
私も、『博士』達のように、普通の人間として生きられる。
そう思っていたのに、そう言ってくれたのに。
『不完全なロボット』というレッテルを貼られ、処分されかけた。
必死で抵抗して、逃げようとした私の首を、誰かが掴んだ__________
「······、おい、A!」
誰かに呼び掛けられた、その声で一気に意識が浮上する。
呼吸を乱雑にしながら声のした方を振り替えると、洞潔さんが驚いた顔で私を見ていた。
「どうしたんだ、酷くうなされていたぞ?」
「········っ、いえ」
そうだ、あれは夢だ。もう過ぎ去ったことだ。
分かっているのに、掴まれた感触は生々しく残っている。
自分のからだの震えを静めるように腕を掴んだ手を離す。
そして、代わりにするようにスカートを握り、下を向くと、頭に何かが置かれた。
「······洞潔、さん?」
「·········何も言うな」
洞潔さんの手だ。
私より大きいその手は、優しい手つきで、ぎこちなく、私の頭を撫でる。
いつもの彼からは想像が出来ないことを今されているのだ。
洞潔さんの顔は見えないけれど、きっと見られないようにそっぽを向いているんだろう。
いかにも人を慰める事をしたことがなさそうなその姿が、彼らしいと思う。
教師なのに、それは如何なものかと思うけれど。
その優しさが、今の私には凄く効いて泣きそうになったけど、ぐっと堪えた。
今更になって、シャワーの音が聞こえてきた。
きっとハルヤ様がお風呂に入っているんだろう。
次第に気持ちも和らいで、落ち着いてくると、手が離れた。
「落ち着いたか?」
「はい、ありがとうございました」
そう言うと、安心したかのようにふっと笑った。
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泣きそうな顔をしている夢主に戸惑いながら、彼なりの方法で慰めてあげる洞潔を
書きたかっただけ。
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Kaede(プロフ) - 地炎 美羅さん» ありがとうございます!頑張ります(*´∀`*) (2018年11月13日 21時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
地炎 美羅(プロフ) - とても面白いです! (2018年11月12日 19時) (レス) id: 58dbd0a658 (このIDを非表示/違反報告)
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